学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 必修問題 ▸ §38 運動学 / QJ25A008
理由で解く 柔道整復師
翼状肩甲は、肩甲骨の内側縁と下角が背中から浮き上がって翼のように見える所見です。代表的な原因は前鋸筋の麻痺(長胸神経麻痺)で、答えは1です。
前鋸筋は第1〜9肋骨の外側面から起こり、肩甲骨内側縁の前面(肋骨に向いた面)に付きます。働きは、肩甲骨を胸郭に押しつけながら前方へ引くことと、上方回旋を助けることです。この筋が働かないと、腕を前へ押し出す動作や肩を90度以上挙げる動作のときに肩甲骨が胸郭から離れ、内側縁が浮き上がります。このとき肩甲骨下角は内側(脊柱側)へ寄る形をとり、壁を両手で強く押させると誘発されるので、健側と見比べると分かりやすい所見です。支配する長胸神経(C5〜C7)は頸部から胸壁の表層近くを長い距離下行するため、リュックや荷物による長時間の圧迫、頸部・腋窩の手術、外傷、ウイルス感染後の神経炎などで麻痺を起こします。なお、肩甲骨を胸郭に引き寄せる働きをもつ菱形筋や僧帽筋が麻痺しても肩甲骨の浮き上がりは生じえますが、その場合は下角が外側へ振れる型となり、腕を外転させたときに目立つという違いがあります。所見をとらえたら、圧迫要因を取り除き、原因の評価のために医療機関の受診につなげたうえで、肩甲帯周囲の筋の再教育を段階的に進めていきます。
| 筋 | 支配神経 | 主な作用 | 麻痺したときの所見 |
|---|---|---|---|
| 前鋸筋 | 長胸神経 | 肩甲骨を胸郭に固定・前方引き・上方回旋 | 翼状肩甲。下角が内側へ寄る型で、壁押しなど前方への押し出しで顕著 |
| 菱形筋 | 肩甲背神経 | 肩甲骨の内転・挙上・下方回旋 | 肩甲骨が外側へ偏位。下角が外側へ振れる型の浮き上がりを生じうる(外転位で目立つ)。単独麻痺はまれ |
| 僧帽筋 | 副神経 | 肩甲骨の挙上・内転・上方回旋 | 肩の下垂、外転制限。下角が外側へ振れる型の浮き上がりを伴うことがある |
| 鎖骨下筋 | 鎖骨下筋神経 | 鎖骨の引き下げ・胸鎖関節の安定 | 肩甲骨位置には影響しない |
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