学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §2 総論 運動器損傷の診察 / QJ24P094

理由で解く 柔道整復師

QJ24P094 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問94
問題
神経症状をみる検査でないのはどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解2
解説

a・c・dはいずれも神経を伸ばす・圧迫して、しびれや放散痛が再現されるかをみる検査。これに対しbは両上肢を後下方へ引いて橈骨動脈の拍動の減弱をみる検査(エデンテスト=肋鎖テスト)で、神経症状をみる検査ではない。答えは2。

神経症状をみる検査は「神経の走行に沿って伸張または圧迫を加え、その支配領域に放散痛・しびれが再現されるか」で判定する点が共通する。図aは頭部を一方へ側屈させた肢位で、検者が両手を頭頂部に当てて上から軸圧を加えており(矢印)、椎間孔を狭めて上肢への放散痛を誘発する椎間孔圧迫テスト(スパーリングテスト。後屈位で頭頂部を圧迫すればジャクソンテスト)である。図cは両肘を張って両手関節を最大掌屈させ、手背同士を合わせて保持する肢位で、手根管内圧を高めて正中神経領域のしびれをみるファレンテスト。図dは腹臥位で殿部を押さえて骨盤を固定し、膝屈曲位を保ったまま足部を上方へ引き上げて股関節を伸展させており、大腿神経を伸張するFNSテスト(大腿神経伸展テスト)である。一方の図bは、検者が背後から患者の手首をつかみ、両上肢を後方かつ下方へ牽引する肢位で、鎖骨と第1肋骨の間(肋鎖間隙)を狭めて鎖骨下動脈が圧迫されるかをみている。胸郭出口症候群そのものは腕神経叢の絞扼でもありしびれを伴うが、この手技で判定するのは橈骨動脈拍動の減弱という血行障害の所見であり、神経を伸張・圧迫して症状を誘発する検査とは目的が異なる。

✓ 2. これが答え(神経症状をみる検査ではない)
b
検者が背後から手首をつかみ、両上肢を後下方へ引いて肋鎖間隙を狭めるエデンテスト(肋鎖テスト)。陽性所見は橈骨動脈拍動の減弱で、みているのは鎖骨下動脈の圧迫=血行障害である。胸郭出口症候群の誘発試験にはルーステスト(上肢を挙上して開閉を繰り返し、しびれ・脱力の再現をみる)のように神経症状を指標にするものもあるが、腕神経叢を直接圧迫して放散痛・しびれをみるのは鎖骨上窩を押すモーリーテストであり、本図の手技とは目的が異なる。
✗ 1. 神経症状をみる検査(答えではない)
a
頭部を一方へ側屈させた肢位で、検者が両手で頭頂部を上から圧迫している(矢印は下向きの軸圧)。椎間孔が狭まって神経根が刺激され、上肢へ放散痛やしびれが走れば陽性となる椎間孔圧迫テスト(スパーリングテスト)で、頸椎症性神経根症や頸椎椎間板ヘルニアの評価に用いる代表的な神経症状の検査である。
✗ 3. 神経症状をみる検査(答えではない)
c
両肘を左右に張り、両手関節を最大掌屈して手背を合わせた状態を保持させるファレンテスト。手根管内圧が上昇して正中神経が圧迫され、1分以内に母指から環指橈側にしびれが出現・増強すれば陽性で、手根管症候群を示唆する。絞扼性神経障害をみる検査である。
✗ 4. 神経症状をみる検査(答えではない)
d
腹臥位で殿部を押さえて骨盤を固定し、膝屈曲位のまま下腿を持ち上げて股関節を伸展させるFNSテスト(大腿神経伸展テスト)。大腿神経が伸張されて大腿前面に放散痛が出れば陽性で、L2〜L4神経根の障害=上位腰椎椎間板ヘルニアを疑う。下位腰椎ではSLR(ラセーグ)が陽性になる。
ポイント
  • 神経症状をみる検査の共通点は「神経を伸張・圧迫して放散痛やしびれが再現される」こと。陽性所見が何かで見分ける。
  • a=椎間孔圧迫テスト(頭部を側屈させ頭頂部から圧迫=スパーリング、後屈位で圧迫=ジャクソン)→上肢への放散痛、頸椎症性神経根症。
  • c=ファレンテスト(両手関節を最大掌屈し手背を合わせて1分保持)→母指〜環指橈側のしびれ、手根管症候群(正中神経)。
  • d=FNSテスト(大腿神経伸展テスト。腹臥位・骨盤固定・膝屈曲位のまま股関節伸展)→大腿前面の放散痛、L2〜L4=上位腰椎椎間板ヘルニア。下位腰椎はSLR。
  • b=エデンテスト(肋鎖テスト)。両肩を後下方に引いて肋鎖間隙を狭め、橈骨動脈拍動の減弱をみる血行障害の検査。
  • 胸郭出口症候群の絞扼部位とテストは対で覚える:斜角筋三角=アドソン、肋鎖間隙=エデン、胸筋下間隙=ライト。腕神経叢を直接圧迫して神経症状(放散痛・しびれ)をみるのはモーリーテスト。
比較表
手技(図の内容)検査名陽性所見神経症状の検査か
a頭部を側屈させ、両手で頭頂部を上から圧迫椎間孔圧迫テスト(スパーリング)上肢への放散痛・しびれ
b背後から手首をつかみ、両上肢を後下方へ牽引エデンテスト(肋鎖テスト)橈骨動脈拍動の減弱(血行障害)×(これが答え)
c両手関節を最大掌屈し、手背を合わせて保持ファレンテスト母指〜環指橈側のしびれ
d腹臥位で骨盤を固定し、膝屈曲位のまま股関節を伸展FNSテスト(大腿神経伸展テスト)大腿前面の放散痛
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