学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ24P079

理由で解く 柔道整復師

QJ24P079 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問79
問題
上腕骨外顆骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 プルオフ型は肘関節内反強制により発生する。
2 前腕屈筋群の牽引作用により回転転位が生じる。
3 回転転位は自家矯正される。
4 鷲手変形は受傷後早期から生じる。
解答
正解1(プルオフ型は肘関節内反強制により発生する。)
解説

上腕骨外顆骨折の発生機序は2型ある。手をついて外反を強制され橈骨頭が外顆を突き上げる「プッシュオフ型」と、内反を強制され外顆に付く前腕伸筋群に引き抜かれる「プルオフ型」である。正しいのは1。

上腕骨外顆には前腕伸筋群(総指伸筋・短橈側手根伸筋など)の共同腱が付着する。肘に内反が強制されると外側が離開し、緊張した伸筋群が外顆を外下方へ引き抜くように骨折する。これがプルオフ型(剥離・裂離型)である。骨片は付着する伸筋群に牽引され続けるため、外方転位に加えて回転(回旋)転位を生じやすい。しかも骨折線が関節面に達する関節内骨折で、骨折面が関節液に洗われて骨癒合が起こりにくく、転位が残れば偽関節・外反肘となる。外反肘は年余を経て尺骨神経を牽引し、遅発性尺骨神経麻痺(鷲手変形)を招く。なお小児では、外顆骨片の大部分が未骨化の軟骨(滑車外側部を含む)で占められるため、エックス線では実際の骨片より小さく写り、転位の程度を過小評価しやすい。健側と比較した評価を行い、医師の画像評価につなぐ。

✓ 1. 正しい
プルオフ型は肘関節内反強制により発生する。
内反が強制されると肘外側が開き、外顆に付く前腕伸筋群が緊張して骨片を引き抜く。「プル(pull)=引き抜かれる」で内反、「プッシュ(push)=突き上げられる」で外反、と語のイメージどおりに対応させて覚えるとよい。
✗ 2. 誤り
前腕屈筋群の牽引作用により回転転位が生じる。
牽引するのは伸筋群である。前腕屈筋群が付くのは内側上顆で、屈筋群に引かれて転位するのは上腕骨内側上顆骨折のほう。付着部を「外顆=伸筋、内側上顆=屈筋」と対で押さえれば取り違えない。
✗ 3. 誤り
回転転位は自家矯正される。
小児の骨折で自家矯正が期待できるのは骨長軸に沿った軽度の側方・屈曲転位までで、回旋転位と関節内骨折の転位は矯正されない。残せば関節面の不適合・偽関節・外反肘に直結するため、早期に正確な整復と固定を行い、整復位が得られない・保持できない場合は速やかに医師へ紹介して観血的整復の判断を仰ぐ。
✗ 4. 誤り
鷲手変形は受傷後早期から生じる。
早期にみられるのは肘外側の腫脹・限局性圧痛・可動域制限で、鷲手変形は外反肘に続発する遅発性尺骨神経麻痺の所見であり、受傷から数年〜十数年後に現れる。したがって初期は変形治癒を作らないことが最大の予防になる。固定中も小指側のしびれや手内在筋の筋力を定期的に確認し、変化があれば医師に相談する。
ポイント
  • 付着筋を対で覚える。外顆=前腕伸筋群/内側上顆=前腕屈筋群。牽引する筋が転位方向を決める。
  • プルオフ型=内反強制で伸筋群に引き抜かれる。プッシュオフ型=外反強制で橈骨頭が突き上げる。
  • 関節内骨折+回転転位のため自家矯正は期待できない。転位残存は偽関節・外反肘の原因。
  • 鷲手変形=外反肘に伴う遅発性尺骨神経麻痺の後遺症で、早期所見ではない。
  • 小児では骨片の大部分が未骨化の軟骨のため、エックス線では実際より小さく写り転位を過小評価しやすい。健側との比較と医師への紹介を前提に対応する。
比較表
プッシュオフ型プルオフ型
強制される方向外反内反
骨折させる力橈骨頭が外顆を下から突き上げる前腕伸筋群が外顆を引き抜く
骨片の性状比較的大きく、滑車側まで及ぶことがある裂離状で回転転位を起こしやすい
共通する注意点いずれも関節内骨折。骨片の大部分が未骨化軟骨のためエックス線では実際より小さく写る。回転転位は自家矯正されず、偽関節・外反肘・遅発性尺骨神経麻痺につながる
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