学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ24P070

理由で解く 柔道整復師

QJ24P070 柔道整復理論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問70
問題
運動枝のみの神経症状を呈するのはどれか。
選択肢
1 手根管症候群
2 総腓骨神経麻痺
3 前骨間神経麻痺
4 肘部管症候群
解答
正解3(前骨間神経麻痺)
解説

前骨間神経は正中神経から分かれた純粋な運動枝で、皮膚知覚を担わない。したがって麻痺しても知覚障害を伴わず、運動麻痺だけが現れる。

前骨間神経は肘のやや遠位で正中神経から分岐し、長母指屈筋・深指屈筋の橈側半(示指・中指)・方形回内筋を支配する。皮膚枝を持たないためしびれや感覚低下は起こらず、母指IP関節と示指DIP関節が屈曲できなくなる。母指と示指で丸(O)を作らせると指先がつぶれて涙のしずく形になる(ティアドロップサイン)。知覚症状がないぶん患者は「動かしにくい」としか訴えないので、指の分離運動を必ず確認する。

✓ 3. 正しい
前骨間神経麻痺
純運動枝であり皮膚知覚を担当しない。長母指屈筋・深指屈筋橈側半・方形回内筋の麻痺のみが出て、知覚障害は伴わない。
✗ 1. 誤り
手根管症候群
正中神経が手根管で圧迫され、母指から環指橈側の知覚障害と夜間痛が主症状。進行すれば母指球筋の萎縮も加わるが、知覚症状が中心である。
✗ 2. 誤り
総腓骨神経麻痺
腓骨頭部での圧迫が典型で、下垂足に加えて下腿外側から足背にかけての知覚障害を伴う。
✗ 4. 誤り
肘部管症候群
尺骨神経が肘内側で絞扼され、小指と環指尺側の知覚障害と、骨間筋・小指球筋の萎縮による鉤爪変形が生じる。知覚枝を含む。
ポイント
  • 前骨間神経=正中神経の運動枝のみ(皮膚知覚なし)
  • 支配筋:長母指屈筋、深指屈筋橈側半、方形回内筋
  • 所見:母指IP・示指DIPの屈曲不能 → ティアドロップサイン
  • 同じ純運動枝の後骨間神経麻痺(下垂指。手関節背屈は保たれる)と対で覚える
比較表
麻痺運動症状知覚障害
前骨間神経麻痺母指IP・示指DIPの屈曲不能なし
手根管症候群母指球筋萎縮(進行例)あり(母指〜環指橈側)
肘部管症候群鉤爪変形、骨間筋萎縮あり(小指・環指尺側)
総腓骨神経麻痺下垂足あり(下腿外側〜足背)
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