学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 衛生学・公衆衛生学 ▸ §3 感染症 / QJ24A117
理由で解く 柔道整復師
院内感染対策で重視されるのは、人から人へ、あるいは器材や環境を介して医療現場で広がる病原体である。破傷風はヒトからヒトへ伝播しないため、院内感染対策としての優先度は低い。正答は1。
B型・C型肝炎ウイルスやHIVは血液・体液を介して伝播し、針刺し切創が主な職業曝露経路になる。MRSAをはじめとする薬剤耐性菌は医療者の手指や器材、環境表面を介した接触感染で広がり、免疫力の落ちた入院患者に重症感染を起こす。いずれも標準予防策(すべての血液・体液を感染性があるものとして扱う)、確実な手指衛生、鋭利器材の適切な取り扱いと廃棄、器材の洗浄・消毒・滅菌、必要に応じた接触予防策とB型肝炎ワクチン接種が対策の柱となる。これに対し破傷風はClostridium tetaniの芽胞が土壌や動物の糞便中に広く分布し、汚染創の内部で嫌気的条件が整うと発芽して毒素を産生することで発症する。病態は毒素によるもので、患者から周囲の人へうつることはないため、隔離や接触予防策の対象にはならず、対策は個々の患者管理、すなわち創の十分な洗浄とデブリドマン、予防接種歴の確認、必要に応じた破傷風トキソイドの追加接種や抗破傷風ヒト免疫グロブリンの投与になる。柔道整復の現場でも、土や砂で汚染された擦過創や刺創を扱う際は、洗浄と破傷風予防歴の確認を行い、判断に迷えば医師へ紹介する流れを平時から決めておきたい。
| 疾患 | 主な感染経路 | ヒト–ヒト感染 | 院内感染対策上の位置づけ |
|---|---|---|---|
| 破傷風 | 土壌中の芽胞による創傷感染 | なし | 優先度は低い(個別の創処置と予防接種で対応) |
| ウイルス性肝炎(B・C) | 血液媒介(針刺し切創など) | あり | 優先度が高い |
| AIDS(HIV) | 血液・体液 | あり | 優先度が高い |
| MRSA感染症 | 接触(手指・器材・環境) | あり | 優先度が高い |
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