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理由で解く 柔道整復師

QJ24A111 衛生学・公衆衛生学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問111
問題
近年の業務上疾病発生状況において疾病者数が最も多いのはどれか。
選択肢
1 災害性腰痛
2 物理的因子による疾病
3 作業態様に起因する疾病
4 じん肺およびじん肺合併症
解答
正解1(災害性腰痛)
解説

わが国の業務上疾病は、「負傷に起因する疾病」が全体の約6割を占め、そのほぼ全部を重量物取扱いや不自然な姿勢による災害性腰痛が占める(全体の約55〜58%)。したがって疾病者数が最も多いのは1の災害性腰痛である。

業務上疾病の人数は、休業4日以上の労働者死傷病報告をもとに分類・集計される。第24回国家試験が行われた2016年(平成28年)の時点で公表されていた業務上疾病者数は年間7,000人台で(平成25年は7,310人)、そのうち「負傷に起因する疾病」が4,504人でおよそ6割(約62%)、さらにそのほぼ全部にあたる4,264人が災害性腰痛だった。つまり災害性腰痛は単独項目としても全体の約58%を占め、圧倒的な最多となる。腰痛が突出するのは、介護・看護、運輸、建設、小売など幅広い業種で人力による重量物の取扱いや中腰・前屈み姿勢が避けにくく、腰部への負荷が繰り返し加わるためである。対策は個人の注意に委ねるのではなく作業そのものを変えることが基本で、リフトやスライディングシートなどの福祉用具・台車の導入、作業台の高さ調整、二人作業や作業標準の整備、休憩と作業姿勢の見直し、腰痛予防体操と作業前の健康チェックを組み合わせる(厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」2013年改訂)。柔道整復の現場でも、腰痛で来院した患者の職種と作業内容を聴取し、施術に加えて作業環境の助言まで届けると再発予防につながる。

✓ 1. 正しい
災害性腰痛
業務上疾病の分類上は「負傷に起因する疾病」に含まれる。「負傷に起因する疾病」が全体の約6割を占め、そのほぼ全部が災害性腰痛であるため、災害性腰痛は単独項目としても全体の約55〜58%を占める最多項目となる。重量物の持ち上げや急激な体位変換など、はっきりした災害的原因で生じた腰痛を指す。
✗ 2. 誤り
物理的因子による疾病
高温(熱中症)、低温、異常気圧、騒音、電離放射線などによる疾病がここに入る。近年は熱中症の増加が目立つものの、年間の人数は1,000人前後にとどまり、災害性腰痛には遠く及ばない。
✗ 3. 誤り
作業態様に起因する疾病
非災害性腰痛(重量物取扱い作業などの継続による腰痛)、頸肩腕症候群、振動障害、VDT作業による疾病などが該当する。同じ腰痛でも、はっきりした災害的原因があるものは災害性腰痛としてこの区分には入らない点が引っかけどころ。年間数百人規模である。
✗ 4. 誤り
じん肺およびじん肺合併症
粉じん作業による代表的な職業性疾病で、じん肺法に基づく健康管理が続けられている。ただし新規の業務上疾病者数としては年間200人前後で、件数の上では上位に来ない。
ポイント
  • 業務上疾病の最多は災害性腰痛。分類上は「負傷に起因する疾病」に属する
  • 数字の帰属に注意:「負傷に起因する疾病」が全体の約6割(平成25年 4,504/7,310人=約62%)、そのほぼ全部が災害性腰痛(4,264人=全体の約58%)
  • 災害性腰痛は「負傷に起因する疾病」、非災害性腰痛は「作業態様に起因する疾病」に分類される(区分が違う)
  • おおよその順位は 負傷に起因する疾病(災害性腰痛)>物理的因子による疾病>作業態様に起因する疾病>じん肺およびじん肺合併症
  • 物理的因子のなかでは熱中症が増加傾向
  • 腰痛対策は作業管理・作業環境管理が主体。福祉用具や台車の導入、作業姿勢・作業標準の見直し、腰痛予防体操を組み合わせる
比較表
分類代表的な疾病人数の規模(出題当時)
負傷に起因する疾病災害性腰痛(ほぼ全部)、外傷後の疾病4,504人=全体の約62%(うち災害性腰痛4,264人=全体の約58%)
物理的因子による疾病熱中症、凍傷、異常気圧、騒音性難聴、電離放射線障害1,000人前後
作業態様に起因する疾病非災害性腰痛、頸肩腕症候群、振動障害、VDT障害数百人
じん肺およびじん肺合併症けい肺、石綿肺など200人前後
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