学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ24A102

理由で解く 柔道整復師

QJ24A102 病理学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問102
問題
良性腫瘍の特徴で正しいのはどれか。
選択肢
1 浸潤性に増殖する。
2 転移を起こす。
3 悪液質を起こす。
4 核分裂が少ない。
解答
正解4(核分裂が少ない。)
解説

良性腫瘍の特徴は「核分裂が少ない」ことである。細胞の異型性が乏しく増殖速度が遅いため、核分裂像は少なく、異常な分裂像もほとんど見られない。

良性・悪性の鑑別は、①発育の仕方、②細胞の異型性、③全身への影響、という3つの軸で整理すると迷わない。良性腫瘍は周囲組織を押しのけるように膨張性(圧排性)に発育し、しばしば被膜をもち境界は明瞭で、発育速度は遅い。細胞は元の組織によく似ており(分化度が高い)、核の大小不同や核クロマチンの増量といった異型性に乏しく、核分裂像も少ない。転移せず、全身の消耗である悪液質も起こさない。ただし「良性=無害」ではない点は押さえておきたい。頭蓋内腫瘍のように周囲の重要構造を圧迫する部位に生じれば生命に関わるし、内分泌腺の良性腫瘍がホルモンを過剰に産生すれば全身症状を引き起こす。発生部位と機能を含めて評価することが大切である。

✓ 4. 正しい
核分裂が少ない。
良性腫瘍は増殖速度が遅く細胞異型性に乏しいため、組織像で核分裂像は少ない。悪性腫瘍で目立つ異常核分裂像(三極分裂など)もほとんど認めない。これは腫瘍の良悪を判定する重要な指標のひとつである。
✗ 1. 誤り
浸潤性に増殖する。
周囲組織へしみ込むように広がる浸潤性増殖は悪性腫瘍の特徴である。良性腫瘍は周囲を押しのける膨張性(圧排性)発育を示し、被膜に包まれて境界明瞭となることが多い。
✗ 2. 誤り
転移を起こす。
転移(リンパ行性・血行性・播種性)は悪性腫瘍に特有の性質である。良性腫瘍は原発巣にとどまり、離れた臓器に新たな病巣をつくることはない。
✗ 3. 誤り
悪液質を起こす。
悪液質は著しい体重減少・貧血・全身衰弱を呈する末期の消耗状態で、悪性腫瘍で問題となる。良性腫瘍は原則として全身の消耗を招かない。
ポイント
  • 良性=膨張性(圧排性)発育・被膜あり・境界明瞭・発育が遅い
  • 良性=異型性に乏しく分化度が高い・核分裂像が少ない
  • 良性=転移しない・悪液質を起こさない・再発が少ない
  • 悪性=浸潤性発育・異型性が強い・核分裂像が多い・転移する・悪液質。
  • 良性でも発生部位(頭蓋内など)やホルモン産生によっては重篤になりうる。
比較表
項目良性腫瘍悪性腫瘍
発育形式膨張性(圧排性)浸潤性
発育速度遅い速い
境界・被膜明瞭、被膜あり不明瞭、被膜なし
細胞異型性乏しい(高分化)強い(低分化のことも)
核分裂像少ない多い、異常分裂あり
転移しないする
全身影響ほとんどない悪液質
再発少ない多い
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