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理由で解く 柔道整復師

QJ24A101 病理学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問101
問題
浮腫のメカニズムで誤っている組合せはどれか。
選択肢
1 蜂窩織炎-血管透過性の亢進
2 ネフローゼ症候群-膠質浸透圧の低下
3 熱傷-毛細血管圧の上昇
4 フィラリア症-リンパ管の閉塞
解答
正解3(熱傷-毛細血管圧の上昇)
解説

誤っている組合せは選択肢3である。熱傷による浮腫は毛細血管圧の上昇ではなく、熱による血管内皮傷害に伴う血管透過性の亢進で起こる。

浮腫は間質に組織液が過剰にたまった状態で、成因は大きく4つに整理できる。(1)毛細血管静水圧の上昇(心不全、静脈血栓、局所の圧迫)、(2)血漿膠質浸透圧の低下(ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養)、(3)血管透過性の亢進(炎症、熱傷、アレルギー)、(4)リンパ管の閉塞(フィラリア症、悪性腫瘍の浸潤、腋窩リンパ節郭清後)である。組合せ問題ではこの4分類のどれに当たるかを1組ずつ当てはめれば確実に処理できる。なお熱傷では、血漿成分が血管外へ大量に漏出する結果、循環血漿量はむしろ減少して熱傷ショックに至るため、毛細血管圧が上がるという説明とは方向が逆になる点も押さえておきたい。

✓ 3. これが答え(誤っている組合せ)
熱傷-毛細血管圧の上昇
熱傷では熱による直接傷害と放出された化学伝達物質により毛細血管内皮が障害され、血管透過性が亢進して血漿成分が間質へ漏れ出す。むしろ循環血漿量は減少するため毛細血管圧は上昇せず、重症例では熱傷ショックをきたす。正しくは「熱傷-血管透過性の亢進」となる。
✗ 1. 組合せは正しい(答えではない)
蜂窩織炎-血管透過性の亢進
蜂窩織炎は皮下組織にびまん性に広がる急性化膿性炎症で、ヒスタミンなどの化学伝達物質により血管透過性が亢進し、炎症性浮腫(腫脹)を生じる。組合せは正しい。
✗ 2. 組合せは正しい(答えではない)
ネフローゼ症候群-膠質浸透圧の低下
高度の蛋白尿によりアルブミンが失われ、低アルブミン血症から血漿膠質浸透圧が低下して全身性浮腫をきたす。ネフローゼ症候群の浮腫の主機序であり、組合せは正しい。
✗ 4. 組合せは正しい(答えではない)
フィラリア症-リンパ管の閉塞
フィラリア(糸状虫)の成虫がリンパ管に寄生してこれを閉塞し、リンパ液の還流障害から高度の浮腫を生じる。慢性化すると皮膚が厚く硬くなる象皮病となる。組合せは正しい。
ポイント
  • 浮腫の4機序=①静水圧上昇 ②膠質浸透圧低下 ③血管透過性亢進 ④リンパ管閉塞
  • 心不全・静脈血栓 → 静水圧上昇。
  • ネフローゼ症候群・肝硬変・低栄養 → 膠質浸透圧低下。
  • 炎症・熱傷・アレルギー → 血管透過性亢進。
  • フィラリア症・リンパ節郭清後 → リンパ管閉塞(リンパ浮腫、象皮病)。
比較表
機序何が起きているか代表疾患
毛細血管静水圧の上昇押し出す力が強すぎる心不全、静脈血栓症、妊娠子宮の圧迫
血漿膠質浸透圧の低下引き戻す力が弱い(低アルブミン血症)ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養
血管透過性の亢進血管の壁が漏れる炎症・蜂窩織炎、熱傷、アレルギー
リンパ管の閉塞排水路がふさがるフィラリア症、腋窩リンパ節郭清後、腫瘍浸潤
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