学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ24A100

理由で解く 柔道整復師

QJ24A100 病理学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問100
問題
病態と疾患の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 腎動脈狭窄-本態性高血圧症
2 冠動脈閉塞狭心症
3 左心不全-肺水腫
4 粥状動脈硬化-糖尿病性網膜症
解答
正解3(左心不全-肺水腫)
解説

正しい組合せは「左心不全-肺水腫」である。左心の拍出障害により血液が肺循環へ後ろ向きに滞り、肺毛細血管圧が上昇して肺胞腔へ血漿が漏れ出す。

組合せ問題は「原因→結果」が生理学的につながるかを1組ずつ検証する。左心不全では左心室から全身へ送り出せなかった血液が左房、肺静脈、肺毛細血管へと順に滞留し、毛細血管静水圧が上昇する。この圧が血漿膠質浸透圧を上回ると水分が間質から肺胞腔へ漏出し、肺水腫となる。臨床的には労作時呼吸困難、起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難、泡沫状(ときにピンク色)の喀痰、両側の湿性ラ音として現れる。対になる右心不全では体循環系にうっ血が生じ、頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫、腹水をきたす。左右をセットで覚えると取りこぼしがない。

✓ 3. 正しい
左心不全-肺水腫
左心室のポンプ機能が低下すると、その手前にある左房・肺静脈・肺毛細血管に血液が滞る。肺毛細血管圧が上昇して血漿が肺胞腔へ漏出したものが肺水腫であり、原因と結果が正しく対応している。
✗ 1. 誤り
腎動脈狭窄-本態性高血圧症
腎動脈狭窄はレニン・アンジオテンシン系の亢進を介して二次性(腎血管性)高血圧を起こす。本態性高血圧症は明らかな基礎疾患が同定できないものを指す診断名なので、原因が特定できているこの組合せとは相容れない。
✗ 2. 誤り
冠動脈閉塞狭心症
冠動脈が完全に閉塞して血流が途絶えれば心筋は壊死に陥り、心筋梗塞となる。狭心症は冠動脈の狭窄や攣縮による一過性の心筋虚血で、壊死には至らない。「閉塞→梗塞」「狭窄→狭心症」と対応させる。
✗ 4. 誤り
粥状動脈硬化-糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症は網膜の毛細血管が高血糖により傷害される細小血管症で、毛細血管瘤、点状出血、硬性白斑、新生血管を特徴とする。粥状動脈硬化は大動脈・冠動脈・脳動脈など比較的太い動脈に生じる病変で、糖尿病では大血管症(心筋梗塞・脳梗塞)の背景となる。
ポイント
  • 左心不全→肺うっ血・肺水腫(起坐呼吸、泡沫状喀痰)。
  • 右心不全→体循環うっ血(頸静脈怒張、肝腫大、下腿浮腫、腹水)。
  • 本態性高血圧=原因不明。腎動脈狭窄など原因が明確なら二次性高血圧
  • 冠動脈の狭窄→狭心症完全閉塞→心筋梗塞
  • 糖尿病の三大細小血管症=網膜症・腎症・神経障害。粥状硬化は大血管症。
比較表
病態正しく対応する疾患誤りやすい組合せ
左心不全肺水腫・肺うっ血下腿浮腫(→右心不全)
右心不全頸静脈怒張・肝腫大・下腿浮腫肺水腫(→左心不全)
腎動脈狭窄腎血管性(二次性)高血圧本態性高血圧
冠動脈閉塞心筋梗塞狭心症(→狭窄・攣縮)
粥状動脈硬化心筋梗塞・脳梗塞(大血管症)糖尿病性網膜症(→細小血管症)
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