学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §5 循環障害 / QJ24A099

理由で解く 柔道整復師

QJ24A099 病理学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問99
問題
循環障害の定義で誤っているのはどれか。
選択肢
1 うっ血とは動脈血が組織や臓器にうっ滞している状態
2 充血とは組織、臓器内を流れる血液量が過剰の状態
3 血栓症とは凝固血が血管壁に付着している状態
4 塞栓症とは血管内異物により小血管腔が閉塞する状態
解答
正解1(うっ血とは動脈血が組織や臓器にうっ滞している状態)
解説

誤っているのは選択肢1である。うっ血は「静脈血」が滞った受動的な状態を指し、動脈血がうっ滞する状態ではない。動脈血の流入が増えるのは充血である。

循環障害の用語は「どの血管の血液が、増えているのか・滞っているのか」という2つの軸で整理すると混乱しない。充血は細動脈が拡張して動脈血の流入が増えた能動的な状態で、局所は鮮紅色となり温かくなる(炎症や運動時など)。うっ血は静脈の還流が妨げられて静脈血が滞った受動的な状態で、酸素を失った血液がたまるため暗赤色〜チアノーゼを呈し、局所温度はむしろ下がる。血栓症は生きた生体の血管内で血液が凝固して血管壁に付着した状態、塞栓症はその血栓や脂肪滴・空気・腫瘍細胞塊などが栓子となって血流に運ばれ、末梢の細い血管腔をふさいだ状態である。血栓は「その場でできる」、塞栓は「流れてきて詰まる」と動きの有無で区別する。

✓ 1. これが答え(誤っている記述)
うっ血とは動脈血が組織や臓器にうっ滞している状態
「動脈血」が誤り。うっ血は静脈の還流障害により静脈血が組織・臓器に滞った受動的な状態で、暗赤色・チアノーゼ・局所温度の低下を伴う。心不全、静脈血栓、圧迫などが原因となる。動脈血の流入が増える状態は充血である。
✗ 2. 記述は正しい(答えではない)
充血とは組織、臓器内を流れる血液量が過剰の状態
細動脈の拡張により動脈血の流入が増え、局所の血液量が過剰になった能動的な状態を充血という。鮮紅色で拍動性、局所温度は上昇する。記述は正しいので、この問の答えにはならない。
✗ 3. 記述は正しい(答えではない)
血栓症とは凝固血が血管壁に付着している状態
生体の血管内で血液が凝固し、血管壁に付着した血栓が形成される病態が血栓症である。血管内皮の傷害、血流の停滞、血液凝固能の亢進(ウィルヒョウの3徴)が成因となる。記述は正しい。
✗ 4. 記述は正しい(答えではない)
塞栓症とは血管内異物により小血管腔が閉塞する状態
血流に運ばれてきた栓子(血栓、脂肪滴、空気、腫瘍細胞塊、羊水など)が末梢の細い血管をふさぐ病態が塞栓症である。記述は正しい。
ポイント
  • 充血=動脈血の流入増加(能動的・鮮紅色・温かい)。
  • うっ血=静脈血の還流障害(受動的・暗赤色・冷たい・チアノーゼ)。
  • 血栓はその場でできる、塞栓は流れてきて詰まる
  • 血栓形成の3要因(ウィルヒョウの3徴)=血管内皮傷害・血流停滞・凝固能亢進。
  • 否定形の設問では、まず設問文に「誤っているのは」と印を付けてから選択肢を読む。
比較表
充血うっ血虚血
血液の種類動脈血静脈血動脈血の減少
機序細動脈拡張(能動的)静脈還流障害(受動的)動脈の狭窄・閉塞
色調鮮紅色暗赤色・チアノーゼ蒼白
局所温度上昇低下低下
代表例炎症、運動、発赤心不全、静脈血栓狭心症、閉塞性動脈硬化症
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。