学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ34A120

理由で解く 柔道整復師

QJ34A120 病理学概論

出典:第34回柔道整復師国家試験(2026)午前 問120
問題
1型糖尿病で障害される膵臓の細胞はどれか。
選択肢
1 A(α)細胞
2 B(β)細胞
3 腺房細胞
4 膵管上皮細胞
解答
正解2(B(β)細胞)
解説

1型糖尿病は、インスリンをつくる膵ランゲルハンス島のB(β)細胞が自己免疫の機序で壊される病気です。したがって障害される細胞はB(β)細胞です。

膵臓は外分泌部と内分泌部が同居する臓器です。外分泌部では腺房細胞が消化酵素をつくり、膵管上皮細胞がその膵液を十二指腸へ運びます。内分泌部にあたるランゲルハンス島には、グルカゴンを出すA(α)細胞、インスリンを出すB(β)細胞、両者を抑えるソマトスタチンを出すD(δ)細胞が集まり、島の細胞の大半をB細胞が占めます。1型糖尿病では膵島に自己反応性のリンパ球が浸潤し(膵島炎)、B細胞だけが選択的に破壊されるため、インスリンが絶対的に欠乏します。小児から若年での発症が多く、痩せ型でケトアシドーシスを起こしやすいのはこのためで、治療はインスリン注射が欠かせません。施術の場では、インスリンを打った時刻と食事の有無を先に確認し、冷汗・手のふるえ・強い空腹感といった低血糖のサインを頭に入れたうえで、補食を手元に置いてから運動負荷を進めると安全に対応できます。

✓ 2. 正しい
B(β)細胞
ランゲルハンス島でインスリンを産生・分泌する細胞です。1型糖尿病ではこの細胞が自己免疫性に破壊され、血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンが絶対的に不足します。抗GAD抗体などの膵島関連自己抗体が背景の手がかりになります。
✗ 1. 誤り(グルカゴンを出す細胞)
A(α)細胞
グルカゴンを分泌し、肝グリコーゲンの分解や糖新生を促して血糖を上げる側の細胞です。1型糖尿病でも数は保たれ、むしろインスリンによる抑えが外れる分だけ相対的に優位となって高血糖やケトン体産生を後押しします。破壊の標的ではありません。
✗ 3. 誤り(外分泌部=消化酵素をつくる細胞)
腺房細胞
トリプシノーゲン、アミラーゼ、リパーゼなどの消化酵素をつくる外分泌部の細胞で、急性膵炎で自己消化の舞台となる部分です。血糖の調節には関わりません。慢性膵炎が進んで膵実質が広く失われた結果として糖尿病(膵性糖尿病)が生じることはありますが、1型糖尿病とは成り立ちが別です。
✗ 4. 誤り(外分泌部=膵液を運ぶ導管の細胞)
膵管上皮細胞
膵液を十二指腸へ運ぶ導管を覆う細胞で、重炭酸イオンに富む液を出して膵液をアルカリ性側に保ちます。膵癌の多くがここから発生する点で重要ですが、インスリン分泌には関与しません。
ポイント
  • 1型糖尿病=自己免疫によるB(β)細胞の破壊→インスリンの絶対的欠乏。治療はインスリン注射が必須
  • ランゲルハンス島:A(α)=グルカゴン(血糖↑)/B(β)=インスリン(血糖↓)/D(δ)=ソマトスタチン。血糖を下げるホルモンはインスリンだけ
  • 膵臓の外分泌部=腺房細胞(消化酵素)+膵管上皮細胞(膵液の輸送・重炭酸)。血糖調節とは別系統
  • 1型は若年発症・痩せ型・ケトアシドーシスを起こしやすい。抗GAD抗体などの膵島関連自己抗体が手がかり
  • 2型はインスリン抵抗性+分泌能低下が主体。施術前にインスリンの使用時刻と食事を確認し、補食を用意してから運動を進める
比較表
項目1型糖尿病2型糖尿病
成り立ち自己免疫によるB(β)細胞の破壊インスリン抵抗性+分泌能の低下
インスリン絶対的欠乏相対的不足(分泌は残る)
発症年齢・体型小児〜若年に多い/痩せ型が多い中高年に多い/肥満を伴いやすい
急性合併症ケトアシドーシスを起こしやすい高浸透圧高血糖状態が多い
治療の柱インスリン注射(必須)食事・運動療法、経口薬、必要に応じインスリン
自己抗体抗GAD抗体などが陽性のことが多い通常は陰性
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