学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ24A092

理由で解く 柔道整復師

QJ24A092 運動学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問92
問題
正しいのはどれか。
選択肢
1 肩甲骨の位置は第4~10肋骨の高さにある。
2 肩甲骨は前頭面と約60度の角度をなす。
3 肩甲骨の運動は常に鎖骨の動きを伴って起こる。
4 肩甲骨は最大上下方向に5cm、内外側方向に5cmの可動性がある。
解答
正解3(肩甲骨の運動は常に鎖骨の動きを伴って起こる。)
解説

肩甲骨は肩鎖関節で鎖骨とつながり、その鎖骨が胸鎖関節で体幹につながるため、肩甲骨が動けば必ず鎖骨も動きます。したがって正答は3です。

肩甲帯(肩甲骨と鎖骨)が体幹と骨で連結しているのは、胸骨と鎖骨をつなぐ胸鎖関節ただ一つです。肩甲骨自体は胸郭の後面を筋によって滑る機能的な連結(肩甲胸郭関節)であり、骨としての固定はありません。そのため肩甲骨の挙上・下制・外転(前方突出)・内転(後退)・上方回旋・下方回旋のいずれも、肩鎖関節と胸鎖関節を介した鎖骨の動きを必ず伴います。位置の目安は、上角が第2肋骨、肩甲棘の内側端が第3胸椎棘突起、下角が第7肋骨(第7胸椎棘突起)の高さです。また安静時の肩甲骨面は前額(前頭)面に対しておよそ30度前方を向いており、この面に沿って上肢を挙げる動き(肩甲骨面挙上・スキャプション)は、肩関節にとって最も無理の少ない挙上方向として臨床でも用いられます。

✓ 3. 正しい
肩甲骨の運動は常に鎖骨の動きを伴って起こる。
肩甲骨は肩鎖関節で鎖骨と、鎖骨は胸鎖関節で胸骨と連結しています。肩甲帯が体幹に骨で結ばれているのは胸鎖関節だけなので、肩甲骨が動くときには例外なく鎖骨も動きます。肩関節の外転で上腕骨と肩甲骨がおよそ2対1の割合で連動する肩甲上腕リズムも、この連結を前提にした現象です。
✗ 1. 誤り
肩甲骨の位置は第4~10肋骨の高さにある。
肩甲骨は上角が第2肋骨、下角が第7肋骨の高さに位置し、おおむね第2〜第7肋骨の範囲に収まります。第4〜第10肋骨では位置が下方にずれています。
✗ 2. 誤り
肩甲骨は前頭面と約60度の角度をなす。
安静時の肩甲骨面は前額(前頭)面に対して約30度前方を向いています。約60度ではありません。この30度の面に沿った挙上が肩甲骨面挙上(スキャプション)です。
✗ 4. 誤り
肩甲骨は最大上下方向に5cm、内外側方向に5cmの可動性がある。
教科書的には上下方向におよそ10〜12cm、内外側方向におよそ15cmの可動性があるとされ、5cmでは過小です。あわせて、肩甲棘基部付近を回転中心とし、下角が大きく外側・上方へ移動する上方回旋・下方回旋も約60度に及びます。回転中心は下角ではなく、下角は回旋によって最も大きく移動する点である点に注意してください。
ポイント
  • 肩甲帯が体幹と骨で連結するのは胸鎖関節ただ一つ。だから肩甲骨の運動は必ず鎖骨の動きを伴う。
  • 肩甲胸郭関節は骨性の関節ではなく、胸郭上を筋で滑る機能的連結。
  • 位置の目安=上角が第2肋骨、肩甲棘内側端が第3胸椎棘突起、下角が第7肋骨(第7胸椎棘突起)。
  • 安静時の肩甲骨面は前額面から約30度前方。この面での挙上がスキャプション。
  • 可動性は上下におよそ10〜12cm、内外側におよそ15cm、回旋は約60度とされる。回旋の中心は肩甲棘基部付近で、下角はその回旋で最も大きく移動する点。
比較表
項目正しい内容本問での誤答肢
高さ上角=第2肋骨、下角=第7肋骨(第2〜第7肋骨)1(第4〜10肋骨)
前額面との角度約30度前方2(約60度)
鎖骨との連動肩鎖関節・胸鎖関節を介して必ず連動—(3が正答)
可動性上下 約10〜12cm、内外側 約15cm、回旋 約60度(回転中心は肩甲棘基部付近)4(上下5cm・内外側5cm)
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