学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §5 姿勢 / QJ24A093

理由で解く 柔道整復師

QJ24A093 運動学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問93
問題
抗重力筋はどれか。
選択肢
1 咬筋
2 前頭筋
3 大頬骨筋
4 前斜角筋
解答
正解4(前斜角筋)
解説

抗重力筋は重力に抗して立位などの姿勢を保つ筋で、選択肢の中では頸部の姿勢保持に働く前斜角筋があてはまります。したがって正答は4です。

立位では重力線が乳様突起、肩峰のやや前方、股関節中心のやや後方、膝関節の前方、足関節の前方(外果の前方2〜3cm)を通ります。重力線が関節の前を通ればその関節は伸展方向へ、後ろを通れば屈曲方向へ崩れようとするため、そのつど反対側にある筋が制動としてはたらきます。こうして重力に抗して姿勢を保つために身体の前面と後面の両方で持続的に働く筋群が抗重力筋です。後面では脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋(とくにヒラメ筋)が、前面では頸部屈筋群(斜角筋など)、腹筋群、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋が代表として挙げられます。これらは持久的に働き続ける必要があるため、遅筋(赤筋・タイプI)線維の割合が高いことも特徴です。前斜角筋は頸椎の横突起から第1肋骨に付き、頸部の前屈・側屈に働くとともに、頸部前面の抗重力筋群の一つとして、姿勢の動揺に対して頸部を持続的に安定させる(過伸展を制御する)役割を担います。なお頭部の重心は環椎後頭関節より前方にあるため、立位で頭部が前方に倒れこむのを支える主役は頭・頸半棘筋や板状筋などの後頸筋群であり、前面の筋はこれと対をなして頸部の姿勢を保っています。一方、咬筋・前頭筋・大頬骨筋はいずれも頭部の筋で、下顎を動かしたり顔の表情をつくったりする筋であり、全身の姿勢保持を担う筋群には含まれません。

✓ 4. 正しい
前斜角筋
頸椎の横突起から第1肋骨に付く筋で、頸部の前屈・側屈に働きます。立位姿勢では頸部前面の抗重力筋群の一つとして、姿勢の動揺に対して頸部を持続的に安定させる(過伸展を制御する)役割を担います。頭部の重心は環椎後頭関節より前方にあるため、頭部が前方に倒れこむのを支えるのは頭・頸半棘筋や板状筋などの後頸筋群で、前後の筋がペアとなって頸部の姿勢を保ちます。斜角筋群は努力性吸息の補助筋でもあり、姿勢と呼吸の両面で働く筋です。
✗ 1. 誤り
咬筋
下顎枝の外側に付き、下顎を挙上して閉口させる咀嚼筋です。下顎が重力で垂れ下がるのを防ぐ働きは持ちますが、立位姿勢を支える抗重力筋として教科書的に挙げられるのは頸部・体幹・下肢の筋群です。咬筋は本問で問われている抗重力筋には該当せず、選択肢4の前斜角筋が正答となります。
✗ 2. 誤り
前頭筋
眉を挙げて額に横じわをつくる表情筋です。皮膚に停止する皮筋で顔面神経支配であり、身体の姿勢保持には関与しません。
✗ 3. 誤り
大頬骨筋
頬骨から口角に向かい、口角を上外側に引き上げて笑いの表情をつくる表情筋です。これも顔面神経支配の皮筋であり、抗重力筋ではありません。
ポイント
  • 抗重力筋=重力に抗して立位・座位の姿勢を保持する筋。持続的に働くため遅筋(赤筋・タイプI)線維が多い。
  • 立位の重力線=乳様突起→肩峰のやや前方→股関節中心のやや後方→膝関節の前方→足関節の前方(外果の前方2〜3cm)。
  • 重力線が関節の前を通れば伸展方向、後ろを通れば屈曲方向に崩れようとするので、その反対側の筋が制動として働く。だから抗重力筋は前面と後面の両方にある。
  • 後面の代表=脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋(ヒラメ筋)。
  • 前面の代表=頸部屈筋群(斜角筋など)、腹筋群、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋。
  • 頭部の重心は環椎後頭関節より前方。頭部が前へ倒れるのを支える主役は後頸筋群(頭・頸半棘筋、板状筋)で、前面の頸部屈筋群は過伸展の制御を担う。
  • 表情筋(前頭筋・大頬骨筋)は皮膚を動かす皮筋、咬筋は下顎を動かす咀嚼筋。いずれも全身の姿勢保持を担う筋ではない。
比較表
部位身体の後面(背側)身体の前面(腹側)
頸部頭・頸半棘筋、頭・頸板状筋斜角筋群(前斜角筋など)、頸長筋
体幹脊柱起立筋腹直筋・腹斜筋などの腹筋群
股関節大殿筋、ハムストリングス腸腰筋
膝・足下腿三頭筋(ヒラメ筋)大腿四頭筋、前脛骨筋
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