学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ24A057

理由で解く 柔道整復師

QJ24A057 解剖学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問57
問題
腹腔神経節でニューロンをかえるのはどれか。
選択肢
1 脳神経
2 脊髄神経
3 交感神経
4 副交感神経
解答
正解3(交感神経)
解説

腹腔神経節は交感神経の椎前神経節である。大内臓神経などの節前線維がここでシナプスをつくってニューロンを換え、節後線維が腹部の内臓へ分布する。

交感神経は脊髄側角(T1〜L2)を出た節前線維が、交感神経幹の神経節か、あるいは腹腔神経節・上腸間膜動脈神経節・下腸間膜動脈神経節といった椎前神経節でニューロンを換える。腹腔神経節は腹腔動脈の起始部を左右から挟むように位置し、T5〜T9由来の大内臓神経を受けて胃・小腸・肝・膵などへ節後線維を送る。ここで注意したいのが線維の長さで、交感神経は「節前が短く節後が長い」のが原則だが、本問の大内臓神経はその例外にあたる。交感神経幹の神経節を素通りして腹部まで下るため節前線維は長く、乗り換えたあとの節後線維は目的臓器がすぐ近くなので比較的短い。一方、副交感神経は節前線維が長く、標的臓器のすぐ近くか壁の中(壁内神経節)で乗り換えるため節後線維がごく短い。腹部では迷走神経が腹腔神経叢の中をシナプスせずに通り抜けていく点も、この設問の核心である。

✓ 3. 正しい
交感神経
大内臓神経(T5〜T9)・小内臓神経(T10〜T11)の節前線維は交感神経幹の神経節を素通りし、腹腔神経節に達してここで初めてシナプスをつくる。節後線維は腹腔動脈の枝に沿って腹部内臓へ広がる。
✗ 1. 誤り
脳神経
脳神経の体性運動線維は途中の神経節でシナプスしない。三叉神経節などの感覚神経節は偽単極性細胞の細胞体が集まる場所であり、乗り換えの場ではない。脳神経の副交感成分については、Ⅲ(動眼)・Ⅶ(顔面)・Ⅸ(舌咽)に由来するものが頭部の4神経節(毛様体・翼口蓋・耳・顎下)で、Ⅹ(迷走神経)に由来するものは胸腹部臓器の近傍または壁内神経節で乗り換える。いずれにせよ腹腔神経節でニューロンを換える脳神経成分はない。
✗ 2. 誤り
脊髄神経
体性運動線維は脊髄前角細胞から骨格筋まで途中で乗り換えずに達する。感覚線維の細胞体は脊髄神経節(後根神経節)にあるが、ここでもシナプスは行われない。腹腔神経節と関係するのは脊髄神経に混じって出た交感神経成分のほうである。
✗ 4. 誤り
副交感神経
腹部内臓の副交感成分(迷走神経、下行結腸以下は骨盤内臓神経)は腹腔神経叢の中を通り抜けるだけで、乗り換えは臓器壁内の神経節(筋層間神経叢・粘膜下神経叢など)で行う。「通る」ことと「シナプスする」ことを区別して読むのがこの設問の要点である。
ポイント
  • 腹腔神経節=交感神経の椎前神経節。腹腔動脈起始部を囲み、大内臓神経(T5〜T9)を受ける。
  • 交感神経の乗り換え場所は3通り:交感神経幹の同高位/上下に移動した高位/椎前神経節。
  • 「節前が短く節後が長い」は交感神経の原則。ただし椎前神経節で乗り換える大内臓神経・小内臓神経は交感神経幹を素通りするため節前線維が長い。本問はこの例外そのものを問うている。
  • 副交感神経は節前線維が長く、臓器の近傍または壁内神経節で乗り換える(節後線維が短い)。
  • 感覚神経節(脊髄神経節・三叉神経節など)は細胞体の集まりであってシナプスの場ではない。
  • 副交感線維が腹腔神経叢を「通過する」だけである点に注意。通過=乗り換えではない。
比較表
交感神経副交感神経
起始(中枢)脊髄側角 T1〜L2(胸腰系)脳幹(Ⅲ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)と仙髄 S2〜S4(頭仙系)
乗り換える神経節交感神経幹の神経節、椎前神経節(腹腔・上腸間膜動脈・下腸間膜動脈神経節)臓器近傍の神経節、壁内神経節
節前/節後線維の長さ原則は節前が短く、節後が長い。ただし椎前神経節(腹腔神経節など)で乗り換えるものは節前線維が長い(大内臓神経は交感神経幹を素通りして腹部まで下る)節前が長く、節後が短い
節後線維の伝達物質ノルアドレナリン(汗腺などは例外的にアセチルコリン)アセチルコリン
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