学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ24A055

理由で解く 柔道整復師

QJ24A055 解剖学

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問55
問題
錐体交叉があるのはどれか。
選択肢
1 中脳
2
3 延髄上部
4 延髄下部
解答
正解4(延髄下部)
解説

錐体交叉があるのは延髄の下部、すなわち延髄が脊髄へ移行する高さである。ここで皮質脊髄路(錐体路)の線維の大部分が反対側へ渡り、外側皮質脊髄路として側索を下る。

皮質脊髄路は中心前回から始まり、放線冠→内包後脚→中脳の大脳脚→橋底部→延髄前面の錐体と下降する。延髄下端で約8割前後の線維が交叉して反対側の側索に入り外側皮質脊髄路となり、残りは交叉せず前索を下る前皮質脊髄路となって、支配する分節の高さで交叉する。左の大脳が右半身の運動を支配する理由がこの錐体交叉である。なお延髄には錐体交叉のすぐ上方に毛帯交叉(後索核から出た内側弓状線維が交叉して内側毛帯になる場所)もあり、運動路と感覚路で交叉の高さが少しずれていることも合わせて押さえておきたい。

✓ 4. 正しい
延髄下部
延髄と脊髄の移行部にあたる高さで、前面の錐体を下ってきた線維が前正中裂を斜めに横切って反対側の側索へ渡る。この交叉によって前正中裂の下端が乱れて見えるのが肉眼的な特徴である。
✗ 1. 誤り
中 脳
錐体路は中脳では大脳脚の中央部を通過するだけで交叉しない。中脳で交叉するのは背側から出る滑車神経や、上小脳脚(小脳から出る線維)である。中脳の目印は上丘・下丘、赤核、黒質。
✗ 2. 誤り
錐体路は橋底部を、橋核と橋横線維に取り囲まれながら縦に走る。橋横線維は交叉して中小脳脚から小脳へ入るが、これは大脳から小脳への連絡路の交叉であって錐体交叉ではない。
✗ 3. 誤り
延髄上部
オリーブが膨らむ高さで、錐体はまだ交叉せず前正中裂の両側を左右並んで下行している。同じ延髄でも交叉が起こるのはこれより下、脊髄への移行部である。「延髄のどこか」ではなく「延髄の下端」まで詰めて覚える。
ポイント
  • 錐体交叉=延髄下部(延髄と脊髄の移行部)。皮質脊髄路の大部分(約8割前後)がここで交叉する。
  • 交叉した線維=外側皮質脊髄路(側索)、交叉しなかった線維=前皮質脊髄路(前索)。
  • 錐体路の道すじ:中心前回→放線冠→内包後脚→大脳脚→橋底部→延髄の錐体→錐体交叉。
  • 毛帯交叉(感覚路の交叉)は錐体交叉のすぐ上方にある。運動路と感覚路で交叉の高さがずれる。
  • 左の大脳が右半身を動かすのは錐体交叉があるから、と結果から機序をたどれるようにする。
比較表
高さ錐体路の状態その高さで起こる主な交叉
中脳大脳脚の中央部を通過滑車神経の交叉、上小脳脚交叉
橋底部を橋核に囲まれて縦走橋横線維の交叉(中小脳脚へ)
延髄上部錐体として前正中裂の両側を下行(未交叉)—(オリーブが目印)
延髄下部錐体交叉して外側皮質脊髄路へ錐体交叉(そのすぐ上方に毛帯交叉)
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