学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §23 肩腱板損傷の診察 / QJ24A029

理由で解く 柔道整復師

QJ24A029 必修問題

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問29
問題
腱板断裂の新鮮例で正しいのはどれか。
選択肢
1 自動外転運動で疼痛が増強する。
2 筋萎縮がみられる。
3 結節間溝部に圧痛を認める。
4 診断にはヤーガソンテストが有用である。
解答
正解1(自動外転運動で疼痛が増強する。)
解説

新鮮な腱板断裂では、三角筋が働いても骨頭を関節窩に引きつけられず、自分で挙げようとすると痛みが強くなります。自動運動と他動運動の差が最大の手がかりです。

腱板(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)は上腕骨頭を関節窩に引きつけ、挙上の支点をつくる働きをもちます。棘上筋腱が断裂すると自動外転時に骨頭が上方へずれ、肩峰や烏口肩峰靱帯と衝突(インピンジメント)して疼痛が増強します。外転60〜120度の範囲で痛む有痛弧徴候、挙上位から下ろす途中で腕が落ちるドロップアームサインが典型で、圧痛は大結節部(棘上筋の停止部)や肩峰下に認めます。筋萎縮は廃用が進んで初めて現れるため、新鮮例ではみられません。急性期は安静・固定と挙上動作を避ける指導を行い、可動域の再獲得は医師の診断と方針のもとで段階的に進めます。

✓ 1. 正しい
自動外転運動で疼痛が増強する。
支点が失われて骨頭が上方偏位し、肩峰下でのインピンジメントが起こるためです。他動では比較的動かせるのに自動では挙がらない、という解離が確認の要点になります。
✗ 2. 誤り
筋萎縮がみられる。
棘上筋窩・棘下筋窩の陥凹として現れる筋萎縮は、断裂後に時間が経ち廃用が進んだ陳旧例の所見です。新鮮例で萎縮が目立つ場合は、以前から断裂が存在した可能性を考える手がかりになります。
✗ 3. 誤り
結節間溝部に圧痛を認める。
結節間溝の圧痛は上腕二頭筋長頭腱の障害を示す所見です。腱板断裂の圧痛は大結節部や肩峰下にみられるので、圧痛点を丁寧に触り分けます。
✗ 4. 誤り
診断にはヤーガソンテストが有用である。
ヤーガソンテストは肘屈曲位で抵抗に抗して前腕を回外させ、結節間溝部の疼痛をみる上腕二頭筋長頭腱の検査です。腱板断裂では有痛弧徴候、ドロップアームテスト、棘上筋テスト、インピンジメントテストを組み合わせて評価します。
ポイント
  • 腱板は骨頭を関節窩に引きつけて挙上の支点をつくる。断裂すると自動挙上が破綻する。
  • 自動外転で疼痛増強、他動では比較的可能という「自動と他動の解離」。
  • 有痛弧徴候(外転60〜120度)、ドロップアームサインが典型。
  • 圧痛は大結節部・肩峰下。結節間溝の圧痛は上腕二頭筋長頭腱の所見。
  • 筋萎縮は陳旧例の所見。ヤーガソンテストは長頭腱の検査で、腱板断裂の診断には用いない。
比較表
項目腱板(棘上筋)断裂上腕二頭筋長頭腱の障害
圧痛部位大結節部・肩峰下結節間溝部
痛む動作自動外転・挙上抵抗下の肘屈曲・前腕回外
主な検査有痛弧徴候、ドロップアームテスト、棘上筋テストヤーガソンテスト、スピードテスト
筋萎縮陳旧例で棘上筋窩・棘下筋窩に出現通常みられない
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