学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §42 一般臨床医学 / QJ24A013

理由で解く 柔道整復師

QJ24A013 必修問題

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問13
問題
痛風で正しいのはどれか。
選択肢
1 女性に多い。
2 高尿酸血症を伴う。
3 近位指節間(PIP)関節に好発する。
4 食事療法ではプリン体の摂取を勧める。
解答
正解2(高尿酸血症を伴う。)
解説

痛風は、血液中に増えすぎた尿酸が溶けきれずに尿酸ナトリウムの結晶となり、関節内へ析出して激しい急性関節炎を起こす病気です。したがって、その土台には必ず高尿酸血症があります。

尿酸はプリン体が代謝された最終産物で、体内での産生が過剰になるか、腎臓からの排泄が低下する(あるいはその両方)と血清尿酸値が上がります。血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると溶解度の限界を越え、体温が低く力学的な負荷もかかる末梢の関節、なかでも母趾のつけ根にあたる第1中足趾節(MTP)関節に結晶が沈着しやすくなります。この結晶を白血球が貪食すると強い炎症反応が起こり、発赤・腫脹・熱感を伴って「風が吹いても痛い」と表現される急性発作となります。発作は夜間から明け方にかけて突然始まることが多く、肥満・過度の飲酒(とくにビール)・過食・脱水・利尿薬(サイアザイド系など)の使用が誘因となります。患者の大多数は中年男性で、エストロゲンに尿酸の尿中排泄を促す働きがあるため、閉経前の女性の発症はまれです。確定診断は、関節液を偏光顕微鏡で調べて針状の尿酸ナトリウム結晶を証明することによります。適切に管理されず慢性化すると、耳介や肘頭などに痛風結節ができ、痛風腎(腎障害)や尿路結石を合併しうるため、発作を鎮めるだけでなく尿酸値を長期にわたって管理することが必要です。柔道整復の現場では、外傷歴がないのに単一の関節が急に赤く腫れて激痛を訴える例に出会ったら痛風発作を念頭に置き、患部を安静・冷却として無理な施術を避け、医師の診察につなぐ判断が求められます。

✓ 2. 正しい
高尿酸血症を伴う。
高尿酸血症(血清尿酸値7.0mg/dL超)こそが痛風の成立条件です。尿酸が過飽和となって結晶化することが発作の直接原因なので、診断でも治療でも尿酸値の管理が中心になります。なお、急性発作の最中は尿酸値が一時的に下がって基準内に見えることもあるため、発作時の値が正常でも痛風は否定できません。
✗ 1. 誤り
女性に多い。
逆で、圧倒的に男性に多く、患者の9割以上を男性が占めます。好発は30〜50歳代の男性です。女性ホルモンであるエストロゲンには尿酸の尿中排泄を促進する作用があるため、閉経前の女性は尿酸値が上がりにくく、発症はまれです。閉経後は男性との差が縮まります。
✗ 3. 誤り
近位指節間(PIP)関節に好発する。
痛風発作の初発部位は第1中足趾節(MTP)関節が最も多く、およそ7割を占めます。次いで足関節、足背、踵、膝など下肢に多いのが特徴です。手指のPIP関節が対称性に腫れる場合は関節リウマチ、骨性に膨らむ場合はブシャール結節(変形性関節症)を考えるべきで、痛風の典型像ではありません。
✗ 4. 誤り
食事療法ではプリン体の摂取を勧める。
プリン体は尿酸のもとになるため、食事療法では勧めるのではなく制限します(目安として1日400mg以下)。レバーなどの内臓、白子、干物、エビなどの高プリン食品を控え、アルコール(とくにビール)を減らすことが基本です。あわせて、水分を十分にとって1日尿量2000mL程度を確保し、肥満があれば適正体重を目指し、野菜や低脂肪乳製品を組み合わせるといった、実行できる形での指導を行います。過度の飲酒・過食・脱水・肥満は発作の誘因そのものですから、生活指導はそのまま発作予防につながります。
ポイント
  • 痛風=高尿酸血症(血清尿酸値7.0mg/dL超)を基盤に、尿酸ナトリウム結晶が関節へ析出して起こる急性関節炎。確定診断は関節液で針状の尿酸ナトリウム結晶を証明すること。
  • 患者の9割以上が男性で、好発は30〜50歳代。エストロゲンの尿酸排泄促進作用により閉経前女性には少ない。
  • 初発部位は第1中足趾節(MTP)関節が最多(約7割)。手指PIP関節中心なら関節リウマチやブシャール結節を疑う。
  • 発作は夜間から明け方に突然始まることが多い。誘因は肥満・過度の飲酒(とくにビール)・過食・脱水・利尿薬(サイアザイド系など)の使用。
  • 慢性化すると痛風結節(耳介・肘頭)ができ、痛風腎(腎障害)・尿路結石を合併しうる。
  • 食事療法はプリン体制限(1日400mg以下が目安)・アルコール制限・十分な水分摂取(1日尿量2000mL程度)・肥満の是正が柱。
  • 外傷歴のない単関節の急な発赤・腫脹・熱感・激痛では痛風発作を疑い、安静と冷却のうえ医師の診察につなぐ。
比較表
比較項目痛風偽痛風関節リウマチ
原因尿酸ナトリウム結晶の析出ピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶の沈着自己免疫による滑膜炎
好発する人30〜50歳代の男性(9割以上が男性)高齢者、性差は目立たない30〜50歳代の女性(男性の3〜4倍)
好発関節第1中足趾節(MTP)関節膝関節(次いで手関節・肩)手指MCP・PIP関節、手関節など
関節の分布単関節性・急性発作単関節性・急性発作多関節性・対称性
発症様式・誘因夜間〜明け方に突然発症。肥満・過度の飲酒・過食・脱水・利尿薬が誘因急性に発症。外傷・手術・脱水などが契機数週〜数か月かけて緩徐に発症
特徴的所見関節液で針状の尿酸ナトリウム結晶を証明(確定診断)、血清尿酸値高値、痛風結節(耳介・肘頭など)X線で関節軟骨の石灰化、関節液でピロリン酸カルシウム結晶朝のこわばり、リウマトイド因子・抗CCP抗体
慢性期の合併症痛風腎(腎障害)、尿路結石変形性関節症に似た関節破壊関節破壊・変形(スワンネック変形など)
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