学習トップ理由で解く 生理学第10章 ▸ C. シナプス伝達 / Q0610

理由で解く 生理学

Q0610 神経

出典:あマ指 第5回(1997) 問題54
問題
化学シナプスで誤っているのはどれか。
選択肢
1 シナプス前ニューロンの興奮は両方向性に伝達される。
2 高頻度の刺激でシナプスの機能は疲労する。
3 シナプス前ニューロンの興奮によって伝達物質がシナプス間隙に放出される。
4 興奮性シナプスと抑制性シナプスとがある。
解答
正解1(シナプス前ニューロンの興奮は両方向性に伝達される。)
解説
✓ 1. 誤り
シナプス前ニューロンの興奮は両方向性に伝達される。
化学シナプスにおける興奮の伝達は一方向性である。伝達物質はシナプス前膜のシナプス小胞に蓄えられ、活動電位の到達によりCa²⁺流入が起こり、シナプス前膜からのみ開口分泌される。受容体はシナプス後膜にのみ存在するため、逆方向への伝達は構造的に起こりえない。これは神経線維における興奮の伝導(両方向性)とは異なるシナプスの重要な特徴である。
✗ 2.
高頻度の刺激でシナプスの機能は疲労する。
✗ 正しい。シナプスでは伝達物質の枯渇やCa²⁺チャネルの不活性化などにより、高頻度刺激で疲労(シナプス疲労)が生じる。
✗ 3.
シナプス前ニューロンの興奮によって伝達物質がシナプス間隙に放出される。
✗ 正しい。シナプス前ニューロンの活動電位が終末に到達すると、電位依存性Ca²⁺チャネルが開き、Ca²⁺流入によりシナプス小胞が前膜と融合して伝達物質が放出される。
✗ 4.
興奮性シナプスと抑制性シナプスとがある。
✗ 正しい。グルタミン酸などによる興奮性シナプス(EPSP発生)とGABA・グリシンなどによる抑制性シナプス(IPSP発生)が存在する。
ポイント
  • 覚え方のコツ: シナプスの特徴3つ=「一方向・遅延(シナプス遅延約0.2ms)・疲労」。伝導の特徴3つ=「両方向・不減衰・絶縁」。伝達と伝導を対比して覚える。
  • 関連知識: シナプスの可塑性(LTP:長期増強、LTD:長期抑圧)は学習・記憶の細胞レベルの基盤であり、海馬で特に研究されている。
  • よくある間違い: 「伝導」と「伝達」の特性を混同するケースが非常に多い。伝導=神経線維上を伝わる(両方向性)、伝達=シナプスを介して伝わる(一方向性)。
  • 教科書では「c.シナプス伝達」の範囲に該当する。
比較表
特性 伝導(神経線維) 伝達(シナプス)
方向性 両方向性 一方向性
速度 速い(跳躍伝導) シナプス遅延あり(約0.2ms)
減衰 不減衰 疲労しうる
絶縁性 あり
解説画像
あマ指 第5回(1997) 問題54|化学シナプスで誤っているのはどれか。 解説図
あマ指 第5回(1997) 問題54|化学シナプスで誤っているのはどれか。
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