
この図の解説
この図は小腸粘膜を拡大し、表面積を稼ぐ三段構えの仕組みと、栄養素の行き先を示している。左の断面で見てほしいのは、粘膜表面にびっしり並ぶ指状の突起=腸絨毛と、その根本に開く腸陰窩(腸腺、リーベルキューン腺小窩)、そして絨毛表面をおおう単層円柱上皮に密生する微絨毛の拡大像である。右の断面では絨毛の内部構造に注目する。中軸を1本の中心リンパ管(中心乳糜腔)が走り、その周囲を毛細血管が網状に取り囲む。この配置が吸収した栄養素の運搬経路を決めており、糖質とアミノ酸(タンパク質の分解産物)は毛細血管から門脈をへて肝臓へ、脂質は中心リンパ管に入って胸管へ向かう。輪状ヒダ・腸絨毛・微絨毛の三段階で表面積はおよそ600倍に拡大され、小腸は食物の最終消化と吸収の場となる。
学習の要点
- 小腸は輪状ヒダ・腸絨毛・微絨毛の三段構えで吸収面積を稼ぎ、糖質とアミノ酸は毛細血管へ、脂質は中心リンパ管へと別々に吸収される。
- 覚え方のコツ: 拡大率は3倍→10倍→20倍で、掛けると3×10×20=600倍。「輪・絨・微」の順に一桁ずつ効いてくる。
- 関連知識: 脂質を含んだリンパは乳白色に見えるため乳びと呼ばれ、中心リンパ管から胸管を経て静脈角へ注ぐ。肝臓へは門脈経由の糖・アミノ酸が届く。
- よくある間違い: 「腸絨毛は大腸にもある」は誤り。腸絨毛は小腸に限られ、大腸粘膜には見られず杯細胞が水分吸収と粘液分泌を担う。
- 臨床応用: 脂肪吸収の場である中心リンパ管の障害では脂溶性栄養の吸収が滞る。栄養状態を診る際の背景知識になる。
確認問題(その場で確認・記録には残りません)
小腸粘膜の吸収面積は、輪状ヒダで( A )倍、腸絨毛で10倍、微絨毛で( B )倍に拡大される。A・Bに入る数字を答えよ。
答えを見る
答え: A=3、B=20
※ 確認問題はその場の理解確認用で、復習スケジュール(FSRS)には記録されません。