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理由で解く 作業療法士

QO61P011 作業療法治療学

出典:第61回作業療法士国家試験(2026)午後 問11
問題
64歳の女性。Parkinson病。Hoehn&Yahrの重症度分類ステージⅢ。薬物コントロールで、屋内での伝い歩きはできている。運動機能の維持を目的とした作業療法で最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 卓球
2 刺し子
3 塗り絵
4 ペグ移動
5 輪の移動
解答
正解5(5)
解説

Parkinson病の運動機能維持には、体幹と上肢を大きく動かすリーチ課題が適する。ステージⅢで転倒しやすい立位課題や、手指の巧緻動作が中心の課題は目的に合わない。

Parkinson病では固縮と無動により動作が小さく遅くなる(寡動)ため、作業療法では意識して大きな振幅の運動を反復させ、関節可動域と粗大運動を保つことが要点になる。輪の移動は、足元の床に置いた輪を拾い上げて台上の支柱へ差し込む課題で、一往復ごとに体幹の前屈・伸展と上肢の挙上・リーチを大きく引き出せる。座位で行うため転倒の危険も小さく、ステージⅢの本症例にも無理なく反復させられる。Hoehn&YahrステージⅢは姿勢反射障害が現れる段階で、本症例も屋内で伝い歩きを要しており、卓球のように立位で素早い方向転換と反応を求められる活動は転倒の危険が大きい。刺し子は針と布を扱う手指の巧緻動作、塗り絵は色鉛筆を握る細かな運動、ペグ移動は卓上でペグをつまんで差し替える微細動作で、いずれも座位の巧緻課題である。これらは上肢の大振幅運動や体幹の可動性を引き出せず、運動機能の維持という目的には力不足である。したがって最も適切なのは輪の移動である。

✗ 1. 誤り
卓球
立位で素早い反応と方向転換を要し、姿勢反射障害のあるステージⅢでは転倒の危険が大きい
✗ 2. 誤り
刺し子
針と布を扱う手指の巧緻動作が中心で、上肢の大きな運動や体幹の可動性は引き出せない
✗ 3. 誤り
塗り絵
色鉛筆を握る細かな手指運動にとどまり、粗大運動や関節可動域の維持にはつながらない
✗ 4. 誤り
ペグ移動
卓上でペグをつまんで差し替える微細動作課題で、上肢の大振幅運動にはならない
✓ 5. 正しい
輪の移動
床の輪を拾い台上の支柱へ差す大きなリーチ動作で、座位のまま体幹と上肢を大きく使える
ポイント
  • H&Y III期=姿勢反射障害あり・転倒リスク増大・生活は自立
  • 維持目的では大きく動的な全身運動・バランス練習が有効
  • 寡動対策として大振幅運動(LSVT BIGの発想)を意識する
比較表
Hoehn&Yahr重症度分類の要点
ステージ特徴
I一側性、機能障害は軽度
II両側性、姿勢反射障害なし
III姿勢反射障害あり、日常生活は自立
IV起立・歩行など介助を要するが自力起立可
V車椅子・臥床、全介助
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