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理由で解く 作業療法士

QO61P007 作業療法治療学

出典:第61回作業療法士国家試験(2026)午後 問7
問題
65歳の女性。台所の段差でつまずき転倒し、左大腿骨近位部骨折。後方進入法にて人工骨頭置換術を施行し、自宅退院に向けて作業療法を開始した。この患者のADL指導の内容で適切なのはどれか。
図
選択肢
1 靴下を履く。
2 足の爪を切る。
3 階段を上がる。
4 杖を使用する。
5 床の物を拾う。
解答
正解2(2)
解説

後方進入の人工骨頭置換術後で避けるのは股関節の過屈曲・内転・内旋。あぐらのような外転・外旋位は脱臼を起こしにくい。

左大腿骨近位部骨折に対して後方進入法で人工骨頭置換術を受けた患者では、股関節の屈曲90°以上・内転・内旋が重なる肢位で後方脱臼が起こる。靴下を履く図は椅子座位で体幹を深く前屈して足先へ手を伸ばしており、股関節が90°をはるかに超えて屈曲するため、ソックスエイドなどの自助具を用いるよう指導する。床の物を拾う図も体幹を前屈させて拾い上げており、同じ理由でリーチャーなどを使わせる。階段を上がる図は患側である左下肢を先に上の段へ出しており、昇りは健側から、降りは患側からという原則に反する。杖を使用する図は杖を患側の左手に持っており、杖は健側の右手に持つのが原則である。足の爪を切る図は床にあぐらのように座った姿勢で、股関節は屈曲しつつ外転・外旋位にあり、後方脱臼が起こる方向とは反対のため安全に行える。したがって適切なADL指導は足の爪を切る動作である。

✗ 1. 誤り
靴下を履く。
椅子で体幹を深く前屈し足先へ手を伸ばしている。股関節が過屈曲となり危険で、ソックスエイドを用いる
✓ 2. 正しい
足の爪を切る。
あぐら様に座っての爪切り。股関節は外転・外旋位で後方脱臼の方向と逆になり、安全に行える
✗ 3. 誤り
階段を上がる。
患側の左下肢を先に上の段へ出している。昇りは健側から、降りは患側からが原則
✗ 4. 誤り
杖を使用する。
杖を患側である左手に持っている。杖は健側の右手に持つのが原則
✗ 5. 誤り
床の物を拾う。
しゃがんで体幹を前屈し床の物を拾っている。股関節が過屈曲となるためリーチャーを用いる
ポイント
  • 後方進入THA/人工骨頭は屈曲90度以上・内転・内旋で後方脱臼
  • 深いしゃがみ・低座面・床の物拾い・脚組み・横座りを避ける
  • リーチャー・ソックスエイド・高い座面・長柄ブラシで脱臼肢位を回避
比較表
後方進入股関節術後の禁忌肢位と対策
禁忌肢位回避のためのADL工夫
過度屈曲(90度超)高い椅子・洋式トイレ・低い所へ屈まない
内転(正中越え)脚を組まない・横座りしない
内旋患側を内へひねらない・方向転換は健側から
床の物拾いリーチャーを使う
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