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理由で解く 作業療法士

QO60P020 作業療法治療学

出典:第60回作業療法士国家試験(2025)午後 問20
問題
31歳の女性。小学生の頃から虚無感を抱くことが多かった。高校では異性との交際が活発であった。相手に過度に依存的になったかと思うと些細なきっかけで罵倒する行動がみられた。別れを切り出されると自殺をほのめかしたり、リストカットで相手を引き留めようとしたりすることが多く、成人してからも続いた。今回も自傷行為のためパートナーと精神科外来を受診した。この患者の治療法で適切でないのはどれか。
選択肢
1 認知行動療法
2 力動的精神療法
3 弁証法的行動療法
4 TEACCHプログラム
5 メンタライゼーション療法
解答
正解4(TEACCHプログラム)
解説

本例は境界性パーソナリティ障害。TEACCHは自閉スペクトラム症への構造化支援プログラムで、適応が異なるため不適切。

慢性的な空虚感、理想化とこき下ろしの間で揺れる不安定な対人関係、見捨てられ不安、自殺のそぶり・リストカットなどの自傷は境界性パーソナリティ障害の中核特徴である。この障害には、感情調整と対人スキルを育てる弁証法的行動療法(DBT)がエビデンスの高い第一選択の一つであり、認知行動療法、力動的精神療法、心の状態を捉える力を高めるメンタライゼーションに基づく治療(MBT)もいずれも用いられる。一方、TEACCHプログラムは自閉スペクトラム症に対し環境の構造化により生活・学習を支援する方法で、対象疾患が異なるため境界性パーソナリティ障害の治療としては適切でない。したがって選択肢4が正解(適切でない)である。

✗ 1. 正しい
認知行動療法
認知の歪みや行動に働きかけ、境界性パーソナリティ障害にも用いられる(適切)
✗ 2. 正しい
力動的精神療法
無意識の葛藤や対人パターンを扱い、この障害の治療に用いられる(適切)
✗ 3. 正しい
弁証法的行動療法
感情調整・対人スキルを育てる、境界性パーソナリティ障害の代表的治療(適切)
✓ 4. 誤り
TEACCHプログラム
自閉スペクトラム症への構造化支援で対象が異なる(適切でない=正解)
✗ 5. 正しい
メンタライゼーション療法
心の状態を捉える力を高めるMBT、この障害に有効(適切)
ポイント
  • 境界性パーソナリティ障害=不安定な対人・自傷・見捨てられ不安
  • 第一選択の一つがDBT(弁証法的行動療法)
  • TEACCHは自閉スペクトラム症向けで対象が異なる
比較表
精神療法と主な適応
療法主な適応
弁証法的行動療法(DBT)境界性パーソナリティ障害
メンタライゼーション療法(MBT)境界性パーソナリティ障害
認知行動療法(CBT)うつ・不安・広く適用
力動的精神療法対人葛藤・パーソナリティ障害
TEACCH自閉スペクトラム症
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