学習トップ理由で解く 作業療法士第12章 ▸ 実地 / QO60P019

理由で解く 作業療法士

QO60P019 作業療法治療学

出典:第60回作業療法士国家試験(2025)午後 問19
問題
33歳の女性。1年前から娘の不登校で心労が重なっていた。1か月前から不眠と意欲低下が出現した。2週前からは口数が減り、食事をほとんど口にせず、「私は母親失格です」と涙をこぼすようになった。夫に付き添われ精神科を受診し入院となり、作業療法が開始された。入院10日目、担当する作業療法士に「もう死なせて下さい。今日で終わりにしたいです」と訴えた。作業療法士の対応で適切なのはどれか。
選択肢
1 「世の中にはもっと苦しい人もいます」
2 「死にたいなどと言わずにもっと頑張りましょう」
3 「薬が効いていないので、主治医に伝えておきます」
4 「なぜそのような気持ちになったのか、聞かせて下さい」
5 「まだ入院したばかりですから、辛くても我慢して下さい」
解答
正解4(「なぜそのような気持ちになったのか、聞かせて下さい」)
解説

希死念慮の訴えには、否定・叱咤・突き放しをせず、まず受容的に傾聴し気持ちを語ってもらう(TALKの原則)ことが適切。

自殺念慮の訴えへの基本対応はTALKの原則(Tell:誠実に関わる、Ask:率直に尋ねる、Listen:傾聴する、Keep safe:安全確保)である。患者が死にたい気持ちを言葉にできたこと自体を受け止め、批判せず気持ちの背景を聴くことが、孤立感の緩和と安全確保につながる。「なぜそのような気持ちになったのか聞かせて下さい」は、気持ちを否定せず率直に尋ね傾聴する態度で適切である。一方、「もっと苦しい人もいる」は苦痛の否定、「頑張りましょう」「我慢して下さい」は励まし・叱咤で自責を強め追い詰める不適切な対応、「薬が効いていない」と即断して話を打ち切る対応も訴えの傾聴を欠き不適切である。なお希死念慮は主治医・チームへ速やかに共有し安全管理を図る必要はあるが、その場でまず行うべきは受容的傾聴である。

✗ 1. 誤り
「世の中にはもっと苦しい人もいます」
苦痛を否定・比較し孤立感を強める
✗ 2. 誤り
「死にたいなどと言わずにもっと頑張りましょう」
叱咤激励は自責を強め追い詰める
✗ 3. 誤り
「薬が効いていないので、主治医に伝えておきます」
訴えの傾聴を欠き話を打ち切る対応
✓ 4. 正しい
「なぜそのような気持ちになったのか、聞かせて下さい」
「なぜそのような気持ちになったのか、聞かせて下さい」:否定せず率直に尋ね傾聴、TALKの原則に沿う
✗ 5. 誤り
「まだ入院したばかりですから、辛くても我慢して下さい」
「まだ入院したばかりですから、辛くても我慢して下さい」:我慢の強要で苦痛を否定し追い詰める
ポイント
  • 希死念慮対応の基本=TALKの原則
  • 否定・叱咤・突き放しをしない
  • 受容的傾聴+チームで安全確保
比較表
希死念慮への対応(TALKの原則)
原則具体的態度
Tell誠実な態度で心配を伝える
Ask死にたい気持ちを率直に尋ねる
Listen批判せず傾聴する
Keep safe安全を確保しチームで共有
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