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理由で解く 作業療法士

QO60P018 作業療法治療学

出典:第60回作業療法士国家試験(2025)午後 問18
問題
70歳の男性。前頭側頭型認知症。元来真面目な性格であった。ここ数年は平気で他人の物を盗るようになり、注意されても意に介さなくなった。また、些細なことで怒り出すため、対応に困った家族が主治医と相談し、デイケアに通所し、作業プログラムに参加することになった。この患者への対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 抽象的な指示を与える。
2 作業に失敗したら叱責する。
3 作業台の席替えを頻繁に行う。
4 道具を見やすいところに置く。
5 作業を決まった手順で行わせる。
解答
正解4(道具を見やすいところに置く。)、5(作業を決まった手順で行わせる。)
解説

前頭側頭型認知症は脱抑制・易怒性・常同行動が特徴。環境を単純化し(道具を見やすく)、常同性を活かして決まった手順で行わせるのが適切。

前頭側頭型認知症(ピック病を含む)では、前頭葉・側頭葉の萎縮により脱抑制、社会的礼節の欠如(万引き・わが道を行く行動)、易怒性、そして同じ行動を繰り返す常同行動が前景に立つ。対応の原則は、刺激と混乱を減らして情動の破綻を防ぎ、保たれやすい常同性・習慣を活用することである。道具を見やすい定位置に置くと環境が単純化され、何をどう使うか迷わず作業に取り組める。決まった手順で行わせることは常同傾向に合致し、患者が安定して取り組める。逆に抽象的な指示は理解を妨げ混乱を招き、失敗を叱責すると易怒性から興奮・易怒反応を誘発し、頻繁な席替えは環境変化への不適応と混乱を強めるため、いずれも不適切である。

✗ 1. 誤り
抽象的な指示を与える。
理解困難で混乱を招く、具体的・簡潔な指示が原則
✗ 2. 誤り
作業に失敗したら叱責する。
易怒性・脱抑制を刺激し興奮を誘発、非難的対応は禁物
✗ 3. 誤り
作業台の席替えを頻繁に行う。
環境変化で混乱・不適応を招く、環境は一定に保つ
✓ 4. 正しい
道具を見やすいところに置く。
環境を単純化し迷わず作業できる、適切
✓ 5. 正しい
作業を決まった手順で行わせる。
保たれた常同性を活かし安定して取り組める、適切
ポイント
  • 前頭側頭型認知症=脱抑制・易怒性・常同行動
  • 環境を単純化・一定に保つ
  • 常同性・習慣を活かし決まった手順で
比較表
前頭側頭型認知症への対応の可否
対応適否と理由
道具を見やすい定位置に適切:環境単純化で混乱防止
決まった手順で行わせる適切:常同性を活用
抽象的な指示不適切:理解困難
失敗を叱責不適切:易怒性を誘発
頻繁な席替え不適切:環境変化で混乱
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