学習トップ理由で解く 作業療法士第12章 ▸ 実地 / QO60P006

理由で解く 作業療法士

QO60P006 作業療法治療学

出典:第60回作業療法士国家試験(2025)午後 問6
問題
52歳の男性。右利き。脳梗塞による右片麻痺。発症後14日目に回復期リハビリテーション病棟へ転棟した。意識は清明で、認知機能に問題はない。Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ、手指Ⅲ、下肢Ⅴ。疼痛や浮腫はない。機能回復を目的とした作業療法を図に示す。現時点でこの患者の右上肢に行う訓練で最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 ペグ差し
2 立位での輪投げ
3 両手でボールを受ける
4 輪を背中で持ち替え
5 肘伸展位での窓拭き
解答
正解4(4)
解説

Brunnstrom上肢Ⅲ・手指Ⅲ。機能回復を狙うなら、いまできることより少し先=ステージⅣの動作を安全に引き出せる課題を選ぶ。

Brunnstrom法ステージⅢは共同運動が随意的に出現して痙縮が最も強くなる時期で、分離運動や随意的な手指伸展、巧緻動作はまだ困難である。上肢ステージⅣの指標は「手を腰の後ろに回す」「肘伸展位で上肢を前方水平挙上」「肘90度屈曲位での前腕回内・回外」、手指Ⅳは半随意的な手指伸展・横つまみである。輪を背中で持ち替える課題はまさに手を腰の後ろに回す動作で、座位で安全に、次段階であるⅣの動きを引き出せるため、機能回復を目的とした訓練として最も適切である。ペグ差しはペグを把持して穴に入れるのに協調性のある分離運動が必要で、手指Ⅲには難易度が高すぎる。立位での輪投げは、輪を握る・腕を挙げる・狙って離すという肘伸展と手指伸展を同時に求めるため、上肢Ⅲでは行えない。両手でボールを受ける課題も、空間を移動し続けるボールに合わせた協調性のある分離運動を要し難しい。肘伸展位での窓拭きは肘を伸ばしたまま肩を90度以上挙上する動作で、上肢ステージⅤ以上が対象である。下肢Ⅴなので立位自体は可能だが、選ぶべきは上肢の段階に見合った課題である。

✗ 1. 誤り
ペグ差し
ペグの把持と挿入には協調性のある分離運動が必要で、手指Ⅲには難易度が高い
✗ 2. 誤り
立位での輪投げ
輪を握り腕を挙げ狙って離す。肘伸展と手指伸展を同時に要し上肢Ⅲでは困難
✗ 3. 誤り
両手でボールを受ける
動き続けるボールに合わせる協調性のある分離運動が必要で、ステージⅢには難しい
✓ 4. 正しい
輪を背中で持ち替え
座位で安全に「手を腰の後ろに回す」上肢Ⅳの動作を練習でき、機能回復に適する
✗ 5. 誤り
肘伸展位での窓拭き
肘伸展位で肩を90度以上挙上する動作は上肢ステージⅤ以上が対象
ポイント
  • ステージⅢ=共同運動が最強・痙縮ピーク
  • 随意運動は共同運動の枠内でのみ可能
  • 近位の安定を利用し分離運動を促す
  • 手指の独立巧緻課題はまだ時期尚早
比較表
Brunnstrom stage(上肢)と訓練の方向性
ステージ特徴と訓練
Ⅰ〜Ⅱ弛緩〜連合反応。共同運動誘発
共同運動が随意化・痙縮最強。分離への準備
Ⅳ〜Ⅴ共同運動から分離が進む。分離運動課題
ほぼ正常。巧緻・協調課題
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 作業療法士
App Store入手