学習トップ理由で解く 作業療法士第12章 ▸ 実地 / QO60P007

理由で解く 作業療法士

QO60P007 作業療法治療学

出典:第60回作業療法士国家試験(2025)午後 問7
問題
19歳の男性。身長170cm、体重60kg。頸髄損傷(第6頸髄節まで機能残存)。車椅子は全幅70cm、全長120cm。車椅子とベッド間の移乗は前・後方移動で自立し、ADLは自助具や環境整備で自立の見込みを得た。住宅改修図を図に示す。正しいのはどれか。
図
選択肢
1 ①屋外スロープの勾配を1/6にした。
2 ②居間と台所の開口部の幅を80cmにした。
3 ③車椅子が回転するポーチの幅を140cmにした。
4 ④歩行者とすれ違うための廊下幅を120cmにした。
5 ⑤床面から浴槽の縁までの高さを80cmにした。
解答
正解3(③③車椅子が回転するポーチの幅を140cmにした。)
解説

全幅70cm・全長120cmの車椅子がその場で回るには対角線約139cm分の空間が要る。ポーチ幅140cmはこれを満たすので適切である。

第6頸髄節まで機能残存の頸髄損傷では手指の把握はできないが手関節背屈が使え、移動は車椅子で行うため、住宅改修は車椅子の通行・方向転換・移乗のしやすさを軸に判断する。車椅子がその場で向きを変えるには、少なくとも本体の対角線の長さぶんの空間が必要で、本例では√(70²+120²)≒139cmとなる。ポーチ幅を140cmとすればこれを上回るため方向転換ができ、この改修は正しい。屋外スロープの勾配は1/12以下(屋外では1/15程度が望ましい)が目安であり、1/6は自走でも介助でも急峻すぎて危険である。車椅子が通る開口部は駆動輪に手を添える分を見込んで本体幅+15cm以上、おおむね有効幅85〜90cmを確保したいので、全幅70cmの車椅子に対する80cmでは余裕がない。車椅子と歩行者がすれ違う廊下幅は135cm以上が目安とされ、120cmでは不足する。浴槽の縁は車椅子座面と同じ40cm前後にそろえると移乗しやすく、床面から80cmでは高すぎて乗り移れない。

✗ 1. 誤り
①屋外スロープの勾配を1/6にした。
スロープは1/12以下が目安。1/6は自走にも介助にも急すぎる
✗ 2. 誤り
②居間と台所の開口部の幅を80cmにした。
全幅70cmの車椅子には有効幅85〜90cm必要で、80cmでは狭い
✓ 3. 正しい
③車椅子が回転するポーチの幅を140cmにした。
車椅子の対角線約139cmを上回り、その場で方向転換ができる
✗ 4. 誤り
④歩行者とすれ違うための廊下幅を120cmにした。
歩行者とすれ違うには135cm以上が目安で、120cmでは不足する
✗ 5. 誤り
⑤床面から浴槽の縁までの高さを80cmにした。
浴槽縁は座面と同じ40cm前後が適切。80cmは高すぎて移乗不能
ポイント
  • 車椅子の回転スペースは直径約150cm前後
  • スロープ勾配は1/12〜1/15が推奨
  • 浴槽縁高は車椅子座面に近い40cm前後
  • 移乗・すれ違いは通過寸法+余裕が必要
比較表
車椅子住環境の目安寸法
項目目安
回転スペース直径約150cm前後
スロープ勾配1/12〜1/15以下
有効通路幅90cm以上(すれ違いは135cm以上)
浴槽縁の高さ座面と同程度(約40〜45cm)
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