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理由で解く 作業療法士

QO60A002 作業療法評価学

出典:第60回作業療法士国家試験(2025)午前 問2
問題
56歳の男性。数年前から頸椎椎間板ヘルニアを指摘されていた。昨日、自宅で転倒して突然に麻痺を呈した。頸髄損傷と診断され、主な損傷部位以下の機能はASIA機能障害尺度〔ASIA Impairment Scale(AIS)〕でBである。頸椎MRIを図に示す。正しいのはどれか。
図
選択肢
1 横隔膜の麻痺がある。
2 肩をすくめることができる。
3 頸部の感覚機能障害を認める。
4 スプーンを握り食事ができる。
5 棚の上の物をとることができる。
解答
正解2(肩をすくめることができる。)
解説

僧帽筋は副神経(脳神経XI)支配のため、頸髄損傷でも肩をすくめる(肩甲挙上)動作は保たれる。

別冊のMRIは頸椎正中矢状断のT2強調像で、中〜上位頸椎レベルに椎間板ヘルニアによる脊髄の前方からの圧迫と、その部の髄内信号変化(頸髄損傷)を示している。本例はAIS Bで、損傷高位以下は運動が完全麻痺し感覚が一部残存する不全損傷である。肩をすくめる動作を担う僧帽筋は副神経(脳神経XI)に支配されるため、頸髄が損傷しても機能が保たれ肩甲挙上が可能である(選択肢2が正)。横隔膜(C3-5)と頸部の皮膚感覚(C2-4)は損傷高位より頭側で温存されるため、横隔膜麻痺や頸部の感覚障害はみられない。一方、手指の把握(C7-T1)や肩関節での挙上(三角筋C5-6)は損傷高位より尾側で運動麻痺となるため、スプーンでの食事や棚の物をとる動作はできない。

✗ 1. 誤り
横隔膜の麻痺がある。
横隔膜は横隔神経(C3-5)支配。MRIが示す脊髄損傷は中位頸髄でそれより尾側にあたり、横隔膜は温存され自発呼吸は保たれる
✓ 2. 正しい
肩をすくめることができる。
肩甲挙上を担う僧帽筋は副神経(脳神経XI)と頸神経(C3-4)の支配。副神経は脳神経で頸髄損傷の影響を受けないため、肩をすくめる動作は可能
✗ 3. 誤り
頸部の感覚機能障害を認める。
頸部の皮膚感覚はC2-4。MRIの損傷レベルより頭側で温存されるため、頸部の感覚障害は生じない
✗ 4. 誤り
スプーンを握り食事ができる。
手指の把握は手指屈筋・手内在筋(C7-T1)による。損傷レベルより尾側でAIS Bは運動完全麻痺のため、スプーンを握れず食事はできない
✗ 5. 誤り
棚の上の物をとることができる。
肩関節での挙上・三角筋はC5-6支配。損傷レベルより尾側で運動麻痺し、上肢を挙上して棚の物をとることはできない
ポイント
  • AIS B=運動完全麻痺・感覚不全(S4-5含む)
  • 僧帽筋は副神経+C3/4支配で肩すくめは残存
  • 横隔膜はC3-5支配
  • 把持はC8-T1、リーチは三角筋C5
比較表
ASIA機能障害尺度(AIS)
AIS内容
A完全麻痺(S4-5に運動・感覚なし)
B運動完全・感覚不全(S4-5に感覚残存)
C運動不全(主要筋の半数以上がMMT3未満)
D運動不全(主要筋の半数以上がMMT3以上)
E正常
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