学習トップ理由で解く 作業療法士第12章 ▸ 実地 / QO59P009

理由で解く 作業療法士

QO59P009 作業療法治療学

出典:第59回作業療法士国家試験(2024)午後 問9
問題
70歳の女性。独居。身長155cm、体重52kg。自宅で転倒。右大腿骨頸部骨折と診断され、右人工骨頭置換術(後方アプローチ)を受けた。術後、回復期リハビリテーション病院を経て自宅退院の見込みである。右股関節の屈曲角度は100度、伸展0度である。左下肢機能には問題を認めない。屋内外は杖歩行自立。現状の家屋環境を図に示す。退院時に向けた環境調整で最も適切なのはどれか。ただし、手すりの高さはすべて適切である。
図
選択肢
1 浴槽内いすを設置する
2 屋内階段の壁側にも手すりを設置する
3 補高便座を設置する
4 玄関の上がりかまちに踏み台を設置する
5 屋外階段の手すりの平坦部分を取り除く
解答
正解1(1)
解説

後方アプローチの人工骨頭置換術後は、股関節の過屈曲+内転+内旋が脱臼肢位になる。屈曲100度の本例が最も深い屈曲を強いられる場面はどこかを図の寸法から探す。

後方アプローチによる人工骨頭置換術後の脱臼危険肢位は股関節の過屈曲・内転・内旋であり、深いしゃがみ込みや低い座面への着座で生じやすい。本例は右股関節屈曲100度、伸展0度で、屋内外とも杖歩行は自立している。図の浴槽は深さ600mmあり、浴槽底に直接座れば股関節屈曲は100度をはるかに超え、立ち上がりの重心移動も大きい。浴槽内いすを置けば座面が上がり、過屈曲を避けたまま出入りと立ち座りができるため、退院時に向けた環境調整として最も適切である。便座は380mmと標準的な高さで、屈曲100度あれば補高しなくても脱臼肢位になりにくい。屋内階段には既に手すりがあり、階段昇降に問題があるという記載もないため壁側への追加は優先度が低い。玄関の上がりかまちは200mmで縦手すりも設置済みであり、踏み台はかえって段数を増やしてしまう。屋外階段の手すりの平坦部分は歩き始めの安定確保に寄与する部分で、取り除く理由がない。

✓ 1. 正しい
浴槽内いすを設置する
深さ600mmの浴槽底への着座を避けて座面を上げられ、過屈曲による脱臼を防げる
✗ 2. 誤り
屋内階段の壁側にも手すりを設置する
屋内階段には既に手すりがあり、階段昇降の問題も記載がなく優先度は低い
✗ 3. 誤り
補高便座を設置する
便座は380mmと標準的な高さで、屈曲100度なら補高なしでも脱臼肢位になりにくい
✗ 4. 誤り
玄関の上がりかまちに踏み台を設置する
上がりかまちは200mmで縦手すりもあり、踏み台はむしろ段数を増やす
✗ 5. 誤り
屋外階段の手すりの平坦部分を取り除く
手すりの平坦部分は歩き始めの安定に役立つ。取り除く必要はない
ポイント
  • 後方アプローチの禁忌肢位=屈曲+内転+内旋
  • 低い座面・床坐位・深いしゃがみ込みを避ける
  • 便座・椅子・ベッドは座面を高く(洋式化)
  • 屈曲100度制限では90度超の深屈曲に注意
比較表
股関節術後アプローチ別の脱臼肢位
アプローチ脱臼肢位避ける動作
後方屈曲+内転+内旋低い座面・しゃがみ込み・脚を組む
前方伸展+外旋後方への反り・大きな外旋
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