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理由で解く 作業療法士

QO58P007 作業療法治療学

出典:第58回作業療法士国家試験(2023)午後 問7
問題
40歳の女性。保険会社の営業職。くも膜下出血の診断で開頭クリッピング術が施行され、現在、回復期リハビリテーション病院に入院している。事務職への配置転換が可能であるが、本人は営業職への復職を希望している。身体機能に問題はない。Barthel Index 100点、HDS-R 25点、Kohs立方体組合せテストIQ 88、BIT 141点、RBMT標準プロフィール14点、BADS総プロフィール8点、TMT-A 120秒、TMT-B 145秒であった。復職に向けた作業療法として最も適切なのはどれか。
選択肢
1 営業職への復職を勧める。
2 課題の間違いは翌日指摘する。
3 関わり続けるスタッフを固定する。
4 グループ訓練から個別訓練へ移行する。
5 メモリーノートの活用方法を指導する。
解答
正解5(メモリーノートの活用方法を指導する。)
解説

検査所見は記憶障害(RBMT低下)と遂行機能障害(BADS低下・TMT延長)を示す。これらには外的代償手段であるメモリーノートの活用指導が最も有効。

この患者はADL自立(BI 100)、認知症スクリーニング(HDS-R 25)や視空間(BIT 141)は概ね良好だが、日常記憶を評価するRBMT標準プロフィール14点は低下、遂行機能を評価するBADS総プロフィール8点は低下、注意・遂行に関わるTMT-A/Bも延長しており、記憶障害と遂行機能障害が主体である。これらの高次脳機能障害に対して有効性が高いのは、失われた機能を内的に回復させることに固執するより、メモリーノート(手帳・スケジュール帳)などの外的代償手段を用いて予定・手順を補い、生活・業務を成立させる代償的アプローチである。記憶・遂行機能障害を残したまま対人交渉や臨機応変な判断を要する営業職へ即復職を勧めるのは時期尚早でリスクが高い。フィードバックは即時に行うのが原則(翌日では効果が薄い)。したがってメモリーノートの活用指導が最も適切である。

✗ 1. 誤り
営業職への復職を勧める。
記憶・遂行機能障害が残存し、臨機応変さを要する営業職への即復職はリスクが高い
✗ 2. 誤り
課題の間違いは翌日指摘する。
フィードバックは即時が原則で、翌日では学習効果が乏しい
✗ 3. 誤り
関わり続けるスタッフを固定する。
記憶・遂行機能障害の代償には直結せず最適でない
✗ 4. 誤り
グループ訓練から個別訓練へ移行する。
復職に向けては対人・実務場面を含む訓練が有用で、個別化が最適とはいえない
✓ 5. 正しい
メモリーノートの活用方法を指導する。
記憶・遂行機能障害に対する外的代償手段として最も適切
ポイント
  • RBMT低下=記憶障害/BADS低下・TMT延長=遂行機能障害
  • 記憶障害には外的代償(メモリーノート)が有効
  • フィードバックは即時が原則
  • 残存する高次脳機能障害への復職判断は慎重に
比較表
本症例の神経心理検査所見
検査評価対象結果
RBMT日常記憶低下(14点)
BADS遂行機能低下(8点)
TMT-A/B注意・遂行機能延長(120/145秒)
BIT半側空間無視概ね正常(141点)
HDS-R認知機能スクリーニング概ね正常(25点)
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