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理由で解く 作業療法士

QO58P003 作業療法評価学

出典:第58回作業療法士国家試験(2023)午後 問3
問題
80歳の男性。入院リハビリテーション中に胸部不快感を訴えたため心電図を施行した。入院時の心電図(図A)と発作時の心電図(図B)を図に示す。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 著変なし
2 徐脈
3 狭心症
4 心房細動
5 左室肥大
解答
正解3(狭心症)
解説

洞調律・同程度の心拍を保ったまま、胸部症状の発作時にだけ一過性の虚血性ST-T変化が出現するのが狭心症発作の心電図所見である。

80歳男性がリハビリ中に胸部不快感を訴えた際の心電図で、入院時(別冊No.1A)と発作時(別冊No.1B)を比較する問題である。まず調律を確認すると、AもBもQRS波の前にP波を伴う規則的な洞調律で、RR間隔はほぼ一定、心拍数はどちらも同程度(およそ70台)である。この時点で、基線の細動波と絶対性不整脈を示す「心房細動」、および心拍が遅い「徐脈」は否定される。次にAとBを重ねて比較すると、発作時のBでは胸部誘導を中心にST-T部分の波形が変化しており(虚血性ST-T変化)、入院時のAには乏しい。したがって「著変なし」も否定される。左室肥大は高電位を主体とする静的な所見であり、発作時に新たに出現して急性の胸部不快感を起こすものではない。以上より、洞調律を保ったまま胸部症状の発作時にのみ一過性の虚血性ST-T変化が出現している本例は、心筋の一過性虚血による狭心症発作の心電図と考えるのが妥当である。なお本画像の解像度ではST変化が上昇型か低下型かを厳密に判定することは難しいが、発作時に一過性のST-T変化が生じる点が狭心症を示す決め手となる。

✗ 1. 誤り
著変なし
入院時(A)と発作時(B)を比べると胸部誘導を中心にST-T部分が変化しており、変化がないとは言えない
✗ 2. 誤り
徐脈
A・Bとも心拍数はおよそ70台で同程度、RR間隔からも徐脈ではない
✓ 3. 正しい
狭心症
洞調律を保ったまま、胸部不快感の発作時(B)にのみ一過性の虚血性ST-T変化が出現しており、労作性狭心症の発作時心電図として矛盾しない
✗ 4. 誤り
心房細動
A・BともQRSの前にP波を伴う規則的な洞調律で、基線の細動波や絶対性不整脈は認めず、心房細動ではない
✗ 5. 誤り
左室肥大
発作時に新たな高電位などの左室肥大所見が出現したわけではなく、急性の胸部不快感の原因とはいえない
ポイント
  • 労作時胸部症状+一過性ST-T変化=狭心症
  • 狭心症のST変化は可逆性(発作時のみ)
  • 心筋梗塞は異常Q波・持続的ST上昇を残す
比較表
心電図所見の鑑別
病態特徴的心電図所見
狭心症発作時に一過性ST低下・陰性T(可逆性)
心筋梗塞ST上昇→異常Q波(持続性)
心房細動P波消失・基線細動波・RR不整
左室肥大高電位差・ストレイン型ST-T
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