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理由で解く 作業療法士

QO58A014 作業療法治療学

出典:第58回作業療法士国家試験(2023)午前 問14
問題
58歳の男性。不動産関係の会社勤務。半年前に新プロジェクトを担当してから、下肢のしびれと疼痛を訴えるようになった。整形外科や神経内科を受診したが、身体的な疾患は認めなかった。次第に食思低下や不眠を自覚したため、精神科を受診して入院となり、作業療法が導入された。開始当初に、「足のしびれや疼痛があるので整形外科を受診できるように担当医に伝えて欲しい」と作業療法士に訴えた。このときの作業療法士の対応として最も適切なのはどれか。
選択肢
1 訴えについては傾聴するに留める。
2 整形外科を受診できるよう担当医に掛け合うと約束する。
3 しびれや疼痛は精神的な問題であることを繰り返し説明する。
4 会社で担当した新プロジェクトをどのように感じていたか尋ねる。
5 作業療法に参加をすると下肢の痛みやしびれが軽減すると伝える。
解答
正解1(訴えについては傾聴するに留める。)
解説

器質的異常を欠く身体症状(身体症状症)への対応の基本は、訴えを否定も肯定もせず受容的に傾聴すること。開始当初は治療関係の構築が優先で、症状の否定・安易な約束・性急な心理的追及は避ける。

身体的検査で異常がないにもかかわらず身体症状を訴え、心理的ストレス(新プロジェクト担当)を背景に食思低下・不眠を伴う経過は身体症状症(身体表現性障害)を示唆する。患者は症状を心因と結びつけられておらず身体疾患として扱ってほしいと感じている。作業療法開始当初のこの段階では、まず訴えを傾聴し受容することで治療関係の土台を築くことが最も適切である。訴えを頭ごなしに否定したり、逆に医療的対応を約束したり、症状消失を保証することは信頼関係や治療構造を損なう。心理的背景への直面化は関係ができてから段階的に行うべきで、初回から性急に追及するのは侵襲的で不適切である。

✓ 1. 正しい
訴えについては傾聴するに留める。
訴えを否定せず傾聴に留める対応は、治療関係構築を優先する初期対応として最も適切
✗ 2. 誤り
整形外科を受診できるよう担当医に掛け合うと約束する。
受診を約束すると身体疾患へのとらわれを強化し、実現できない場合に信頼を損なう
✗ 3. 誤り
しびれや疼痛は精神的な問題であることを繰り返し説明する。
「精神的な問題」と繰り返し説明するのは訴えの否定・直面化で反発を招き不適切
✗ 4. 誤り
会社で担当した新プロジェクトをどのように感じていたか尋ねる。
心理的背景の探索は必要だが、開始当初から性急に追及するのは侵襲的で時期尚早
✗ 5. 誤り
作業療法に参加をすると下肢の痛みやしびれが軽減すると伝える。
作業療法で症状が軽減すると保証するのは根拠がなく、達成できなければ関係を損なう
ポイント
  • 身体症状症は器質的異常を欠く身体愁訴+心理的ストレス背景
  • 初期対応は受容的傾聴で治療関係を築く
  • 症状の否定・安易な約束・性急な直面化は避ける
比較表
身体症状症への対応の可否
対応適否
訴えを受容的に傾聴適切(信頼関係)
症状を心因と決めつけ説明不適(直面化)
症状消失を保証不適(過剰な保証)
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