学習トップ理由で解く 作業療法士第13章 ▸ 実地 / QO58A010

理由で解く 作業療法士

QO58A010 地域作業療法学

出典:第58回作業療法士国家試験(2023)午前 問10
問題
30歳の男性。脊髄損傷(第5胸髄節まで機能残存)。受傷から5か月が経過、セルフケアは自立し、退院に向けて住宅改修を検討している。排尿は自己導尿、排便は座薬を使用し便器上で排泄。自宅のトイレの改修前の見取り図を示す。必要な住宅改修で適切でないのはどれか。ただし、車椅子は全幅58cm、全長80cmとする。
図
選択肢
1 ①引き戸に変更する。
2 ②開口幅を85cmに変更する。
3 ③洗面台に下部空間をつくる。
4 ④床をフローリングに変更する。
5 ⑤縦手すりを設置する。
解答
正解5(⑤⑤縦手すりを設置する。)
解説

第5胸髄節残存の対麻痺で移動は車椅子、便器へは横移乗になる。立ち上がりを助ける縦手すりだけが必要な改修として適切でない。

第5胸髄節まで機能残存の対麻痺では下肢の随意運動がなく立位はとれないため、移動は車椅子、排泄は車椅子から便器への横移乗となる。見取り図の改修前は開き戸、開口幅70cm(段差なし)、床はタイル張り、洗面台に下部空間がなく、トイレの外の廊下幅は85cmである。開き戸を引き戸に変えれば扉が開く回転域を気にせずに済み、狭い廊下からでも車椅子で出入りしやすくなる。開口幅70cmは全幅58cmの車椅子が駆動輪に手を掛けて通るには狭く、85cmへ広げれば余裕をもって通過できる。洗面台の下部に空間をつくれば車椅子のまま膝を入れて近づけ、座位のまま整容ができる。タイル張りの床は目地が駆動の抵抗になり濡れると滑りやすいため、フローリングへの変更は車椅子操作と清掃の面で理にかなう。一方、縦手すりは立ち上がりや立位保持を支えるための設備で、立位をとらず横移乗を行う本症例には役立たない。移乗を助けるならL字型手すりや水平手すりを便器の側方に設けるべきで、縦手すりの設置は必要な改修として適切でない。

✗ 1. 正しい
①引き戸に変更する。
扉の回転域が要らず、車椅子でも開閉しやすい適切な改修である
✗ 2. 正しい
②開口幅を85cmに変更する。
全幅58cmの車椅子が余裕をもって通れる幅で、適切な改修である
✗ 3. 正しい
③洗面台に下部空間をつくる。
車椅子のまま膝を入れて洗面台に近づける、適切な改修である
✗ 4. 正しい
④床をフローリングに変更する。
タイルより駆動抵抗が小さく車椅子操作がしやすい、適切な改修
✓ 5. 誤り
⑤縦手すりを設置する。
縦手すりは立ち上がり用。横移乗が中心の本例には有効でない
ポイント
  • T5対麻痺=下肢随意なし、車椅子移動・横移乗が基本
  • 住宅改修は車椅子アプローチと移乗のしやすさ重視
  • 縦手すりは立位・歩行者向け→横移乗の対麻痺者には不適
比較表
車椅子使用者のトイレ改修の要点
項目目的
引き戸車椅子でも開閉容易
開口幅拡大(≧80cm目安)車椅子の通行確保
洗面台下部空間車椅子のまま接近・使用
平滑な床駆動抵抗軽減・清掃性
水平/L字手すり移乗の支持(縦手すりは立位向け)
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