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理由で解く 作業療法士

QO57P002 作業療法評価学

出典:第57回作業療法士国家試験(2022)午後 問2
問題
62歳の女性。くも膜下出血。回復期リハビリテーション病棟に入院している。CAT〈Clinical Assessment for Attention〉の結果を図に示す。結果の解釈として最も適切なのはどれか。
図
選択肢
1 短期記憶障害
2 半側空間無視
3 持続性注意の障害
4 選択性注意の障害
5 ワーキングメモリーの障害
解答
正解5(ワーキングメモリーの障害)
解説

CATは下位検査ごとに測る注意機能が異なる(Span=短期記憶/記憶範囲、Cancellation・Detection=選択性/持続性注意、Memory Updating=ワーキングメモリー、PASAT=配分性注意・作動記憶、CPT=持続性注意)。正答率だけでなく所要時間・反応時間の延長も評価対象で、正答率正常でも所要時間延長なら選択性注意・処理効率の低下を疑う。

本問は厚生労働省により「選択肢に誤りがあり正解が得られない」として採点除外(不適切問題)となり、公式正答は空([])である。CATプロフィールから確実に読み取れるのはワーキングメモリーの障害で、配分性注意・作動記憶を要するPASAT(2秒条件10%、1秒条件はほぼ0%でcut-off▼を大きく下回る)と、作動記憶の更新を測るMemory Updating(3スパン58%・4スパン35%、いずれもcut-off以下)が著明に低下しているため選択肢5は確実に正しい。一方、短期記憶(Digit Span・Tapping Spanが平均域)、半側空間無視(Visual Cancellation・Position Stroopの正答率が平均域)は否定でき、選択肢1・2は誤り。問題は第2の正答で、持続性注意の主指標であるCPT反応時間は平均域で保たれ、選択肢3「持続性注意の障害」は所見が弱い。これに対し、正答率は正常でも抹消課題(Visual Cancellation)とPosition Stroopの所要時間が著明に延長している点を捉えれば、選択性注意・処理効率の低下として選択肢4「選択性注意の障害」を第2正答と解釈できる(信頼できる解説サイトもこの解釈で4・5を挙げる)。もっとも、抹消課題は持続性注意も同時に反映し所要時間延長は処理速度低下とも解釈しうるため、選択性注意か持続性注意かを一意に決められず、これが採点除外の理由となっている。

✗ 1. 誤り
短期記憶障害
Digit Span(順唱5桁/逆唱5桁)・Tapping Span(順唱5桁/逆唱5桁)がいずれも平均域で保たれ、短期記憶(記憶範囲)は正常
✗ 2. 誤り
半側空間無視
Visual Cancellation(98%/94%)とPosition Stroop(97%)の正答率が平均域で見落としがなく、無視を示す所見はない
✗ 3. 誤り
持続性注意の障害
持続性注意の主指標であるCPT反応時間(305/440/420msec)が平均域(283.5/439.6/415.7)で保持され、明確な持続性注意障害は示さない(誤=ただし採点除外の争点)
✗ 4. 誤り
選択性注意の障害
Visual Cancellation・Position Stroopは正答率こそ正常だが所要時間が著明延長(Position Stroop 215秒 vs 平均81.8秒、Visual Cancellation 110/150秒 vs 平均80.8/104.1秒)で、選択性注意・処理効率の低下を示す(正=出題者の想定した第2正答)
✓ 5. 正しい
ワーキングメモリーの障害
PASAT(2秒条件10%・1秒条件ほぼ0%でcut-offを大きく下回る)とMemory Updating(58%/35%でcut-off以下)が著明低下し、ワーキングメモリー障害が明らか
本問は第57回作業療法士国家試験(2022)午後 問2の実際の出題ですが、厚生労働省により「選択肢に誤りがあり、正解が得られないため」として採点除外とされた問題です。原問は「2つ選べ」でしたが、2つ目の正答をどこに置くかで専門家の解説が真っ二つに割れており(選択肢4を採る立場と、正答率が平均域である以上4は成り立たないとする立場があります)、2つに確定できません。そこで演習として成立させるため、当方で設問の「結果の解釈として適切なのはどれか。2つ選べ。」を「結果の解釈として最も適切なのはどれか。」に改め、1つ選ぶ形式にしました。選択肢の文言と図(CATプロフィール)は原問のまま、一切変更していません。Memory Updating(3スパン58%・4スパン35%)とPASAT(2秒条件10%・1秒条件は測定不能)だけがcut-offを大きく下回るため、正答は5に定まります。
ポイント
  • CAT=注意(持続性・選択性・分配性・転換)を測る検査バッテリー
  • 抹消・検出課題/CPTの低下=持続性・選択性注意の障害
  • 記憶・半側空間無視はCATの評価対象外
比較表
CATの下位検査と評価する注意機能
下位検査主に評価する機能
抹消・検出課題選択性・持続性注意
CPT持続性注意
PASATワーキングメモリー・分配性注意
Position Stroop選択性注意・抑制
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