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理由で解く 作業療法士

QO57A008 作業療法治療学

出典:第57回作業療法士国家試験(2022)午前 問8
問題
25歳の女性。交通事故による外傷性脳損傷(右前頭葉)。職場復帰を希望している。WAIS-IIIでは言語性IQが76、動作性IQが106、全検査IQが89。RBMTが19点、TMT-Aが81秒、TMT-Bが90秒、BADSが104点、FIMが120点。対人交流は良好である。2か月後の事務職への職場復帰を目的とした練習として適切なのはどれか。
選択肢
1 電話の受付
2 企画書の作成
3 書類の片付け
4 会議の要約報告
5 金銭の会計処理
解答
正解3(書類の片付け)
解説

言語性IQ76と低くRBMT19点で言語・記憶に弱さがあるが、動作性IQ106・BADS104・FIM120は良好で遂行機能とADLは保たれる。まずは言語・記憶負荷が小さく手順の単純な『書類の片付け』から段階づける。

検査結果を統合すると、言語性IQ76(低下)に対し動作性IQ106(正常域)と大きな乖離があり、言語処理の弱さが目立つ。RBMT19点は日常記憶が境界〜軽度低下を示唆し、TMT-A81秒・TMT-B90秒はやや処理速度低下があるが、BADS104点で遂行機能は保たれ、FIM120点で身体的ADLはほぼ自立、対人交流も良好である。2か月後の事務職復帰に向けた最初の練習課題としては、言語・記憶・複雑な遂行の負荷が小さく、手順が単純で成功体験を得やすい『書類の片付け(整理)』が適切である(選択肢3)。これは視覚的・非言語的処理(保たれた動作性能力)を活かせる課題でもある。電話受付や会議の要約報告は言語理解・言語記憶への負荷が高く現時点では難度が高い。企画書作成や金銭の会計処理は複雑な遂行機能・正確性・エラー管理を要し、負荷が大きく段階づけの初期には不適切である。認知プロフィールの強み(非言語・遂行・ADL)と弱み(言語・記憶)を照合し、易しい課題から段階的に難度を上げる方針を根拠に解く。

✗ 1. 誤り
電話の受付
聴覚的言語理解・言語記憶の負荷が高く、言語性IQ低下・RBMT低値の本例には難しい
✗ 2. 誤り
企画書の作成
複雑な言語表現と遂行を要し、初期課題としては負荷過大
✓ 3. 正しい
書類の片付け
手順が単純で言語・記憶負荷が小さく、保たれた非言語能力を活かせる
✗ 4. 誤り
会議の要約報告
言語理解・記銘・要約を同時に要し記憶/言語の弱さに不利
✗ 5. 誤り
金銭の会計処理
正確性とエラー管理が厳しく求められ、初期の段階づけに不適
ポイント
  • VIQ76/PIQ106の乖離=言語処理の弱さ、非言語は保たれる
  • RBMT19点は日常記憶低下を示唆、BADS/FIMは良好
  • 言語・記憶・複雑さの負荷が小さい課題から段階づける
比較表
検査結果の解釈
検査結果示すもの
WAIS-III VIQ/PIQ76 / 106言語弱・非言語良の乖離
RBMT19点日常記憶の低下傾向
TMT-A/B81/90秒処理速度やや低下
BADS・FIM104・120遂行機能・ADLは良好
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