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理由で解く 作業療法士

QO56A017 作業療法治療学

出典:第56回作業療法士国家試験(2021)午前 問17
問題
65歳の女性。約1年前から抑うつ気分、意欲低下、判断力低下、不眠、食思不振などがあり、約9か月前に精神科外来を初めて受診した。希死念慮や貧困妄想も加わり、約8か月前に医療保護入院となっている。抗うつ剤投与により不眠、食思不振はある程度改善されたが、悲観的な思考内容は遷延化した。促してかろうじて病棟外への散歩に応じるようになり、数か月が経過したところで、主治医から作業療法の依頼があった。この時点での作業療法として適切でないのはどれか。
選択肢
1 本人の自己決定を見守る。
2 個別のかかわりから開始する。
3 1回の活動時間は短く設定する。
4 長期間をかけて完成する課題を採用する。
5 なじみのある課題より初めての課題を採用する。
解答
正解4(長期間をかけて完成する課題を採用する。)
解説

うつ病回復期の作業療法導入。負担が少なく達成感を得やすい短時間・個別・段階的な課題が原則。長期課題や初めての課題は負担・失敗リスクが大きく不適切(=適切でない選択)。

本問は『適切でないもの』を選ぶ。うつ病の回復期に作業療法を導入する際は、意欲低下や易疲労性、自己評価の低下に配慮し、短時間で完結し達成感を得やすい活動を、個別・段階的に導入するのが原則。長期間かけて完成する課題は、途中で意欲が続かず未完成による挫折感・自責感を招きやすく、うつ病患者には最も不適切である。また、病前になじんだ課題は「以前のようにできない」体験となって自己評価をさらに下げるおそれがあるため、負担が小さく成功体験を積みやすい課題であれば初めてのものを選んでも差し支えなく、選択肢5は適切である。これに対し長期間かけて完成する課題は、完成前に意欲が途切れ未完成による挫折感・自責を招くため回復期には不適切であり、選択肢4が正答となる。

✗ 1. 正しい
本人の自己決定を見守る。
自律性を尊重し過度に急がせない関わりは回復期に適切(適切)
✗ 2. 正しい
個別のかかわりから開始する。
集団の負担を避け、まず個別で安心して取り組める環境から始めるのは適切(適切)
✗ 3. 正しい
1回の活動時間は短く設定する。
易疲労性に配慮し短時間で達成感を得られるようにするのは適切(適切)
✓ 4. 誤り
長期間をかけて完成する課題を採用する。
完成まで意欲が続かず未完成による挫折・自責を招くため回復期には最も不適切(適切でない=正答)
✗ 5. 正しい
なじみのある課題より初めての課題を採用する。
なじみのある課題は病前の出来と比べられ『以前のようにできない』体験から自己否定を強めやすい。負担が小さく成功体験を得やすい初めての課題から入るのは適切で、正答ではない
ポイント
  • うつ病回復期=短時間・個別・段階的・達成感重視
  • 長期課題は未完成による自責を招き不適切
  • 急がせず自己決定を尊重
  • 易疲労性・低い自己評価に配慮
比較表
うつ病回復期の作業療法の原則
原則内容
活動時間短時間から
形態個別から段階的に
課題短期完結・達成感を得やすい
避けるべき長期課題・失敗リスクの高い課題
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