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理由で解く 作業療法士

QO56A018 作業療法治療学

出典:第56回作業療法士国家試験(2021)午前 問18
問題
45歳の女性。20歳前後から、心理的負荷がかかるとリストカットを行うようになり縫合を必要とすることが多かった。また、自分の思い通りにいかないと易怒的となり、周囲に暴言を吐くこともあった。25歳時に精神科を初めて受診し、以後、過量服薬時に数回の入院歴があるが、現在は調理の仕事に就いて3年目となる。最近、職場の人間関係で正論を吐きすぎて孤立し、結果として焦燥感が強まり、主治医の勧めで仕事のシフトのない平日の日中に外来作業療法を開始することになった。この時点での作業療法士の関わりとして最も適切なのはどれか。
選択肢
1 転職を勧める。
2 主治医に入院処遇を依頼する。
3 チームでの統一した対応をこころがける。
4 行動化に対しては心的距離を縮めて対応する。
5 本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する。
解答
正解3(チームでの統一した対応をこころがける。)
解説

自傷・過量服薬・対人操作を伴う境界性パーソナリティ障害。スタッフ間の対応のばらつき(スプリッティング)を防ぐため、チームで一貫した対応を保つことが重要。

リストカット・過量服薬・易怒性・対人関係の不安定さは境界性パーソナリティ障害を示唆する。この障害では、対人操作や理想化とこき下ろし(スプリッティング)により、スタッフ間で対応が割れて治療構造が乱れやすい。そのため、あらかじめ枠組みを共有し、チーム全体で統一・一貫した対応を保つことが最も重要である。個々のスタッフがその場の希望に臨機応変に応じたり、過度に距離を縮めたりすると、依存や操作を助長し行動化を強める。安易な転職の助言や、直ちに入院を依頼する対応は現時点では不適切で、外来で一貫した支持的枠組みを維持することが適切。

✗ 1. 誤り
転職を勧める。
本人が3年続けている仕事を安易に手放させる助言は不適切で、対人パターンの課題は転職では解決しない
✗ 2. 誤り
主治医に入院処遇を依頼する。
焦燥は強いが外来で対応可能な段階であり、直ちに入院を求めるのは過剰
✓ 3. 正しい
チームでの統一した対応をこころがける。
スプリッティングによる対応の乱れを防ぎ、一貫した枠組みで支えることが最も適切
✗ 4. 誤り
行動化に対しては心的距離を縮めて対応する。
過度な接近は依存・巻き込みを招き行動化を助長するため不適切
✗ 5. 誤り
本人の希望に応じて日々臨機応変に対応する。
一貫性を欠く対応は操作を助長し治療構造を崩すため不適切
ポイント
  • 境界性パーソナリティ障害=チームで一貫・統一した対応
  • スプリッティング(対応の割れ)を防ぐ
  • 枠組みを共有し過度な接近・臨機応変を避ける
  • 自傷・過量服薬・対人操作が特徴
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