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理由で解く 作業療法士

QO55P011 作業療法治療学

出典:第55回作業療法士国家試験(2020)午後 問11
問題
25歳の男性。頸髄完全損傷、Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類でC6A。ベッド・車椅子間の移乗動作の自立を目指して天井走行型リフトを使用した訓練を行うことになった。吊り具の写真を図に示す。選択する吊り具として正しいのはどれか。
図
選択肢
1
2
3
4
5 5別冊 No. 2
解答
正解5(5 別 冊 No. 2)
解説

自立移乗を目指す頸髄損傷者には、座位のまま自分で装着・取り外しできるセパレート(分離)型スリングを選ぶ。

写真は形状の異なる5種類のリフト用吊り具である。頸髄完全損傷C6A(腕橈骨筋による肘屈曲・前腕回外は可能だが、手関節背屈・手指の把持・上腕三頭筋の伸展は不能)の患者が、リフトを用いて自分だけで移乗を完結させる(自立)ことを目標とする点が鍵となる。①・②・④のように身体全体を包み込む一枚布のシート型は、装着時に身体の下へ布を敷き込む必要があり、単独で座位のまま自分に装着することは難しい。③のバックル付きベルト(立位補助)型は立位保持能力を前提とするため、下肢麻痺のある頸髄完全損傷者には使えない。⑤のセパレート(分離)型は背部バンドと大腿バンドが独立しており、車椅子に座った姿勢のまま各バンドを自分で差し込み、吊り具のループを掛け外しできるため、把持機能に乏しいC6Aでも自己装着が可能で、自立移乗の練習に適する。よって正答は⑤。

✗ 1. 誤り
中央にベルクロ帯を持ち体を包み込む一枚布で、身体の下に敷き込む必要があり自力装着は困難。自立移乗には不適
✗ 2. 誤り
脚分離シート型(ローバック):背部から大腿を一枚で支えるが臥位で身体の下に敷き込む必要があり、自力での装着が難しい
✗ 3. 誤り
バックル付きで立位保持を前提とするタイプ。三頭筋や手指機能を欠く頸髄完全損傷C6Aには立位保持ができず不適
✗ 4. 誤り
頭頸部まで支持する全身用シートで臥位での敷き込みが前提。自力装着は困難で自立移乗には不向き
✓ 5. 正しい
5別冊 No. 2
セパレート(分離)型:背部バンドと大腿バンドの2部品に分かれ、車椅子に座ったまま自分で各バンドを差し込み・掛け外しできる。手指の巧緻性が乏しいC6Aでも座位で自己装着でき、自立移乗を目指す吊り具として適切
ポイント
  • C6A=手関節背屈可・上腕三頭筋なし・体幹下肢完全麻痺で坐位バランス不良
  • リフト移乗の吊り具は体幹コントロールの有無で選択
  • 全身(頭頸部〜大腿)支持型ハンモックが完全麻痺例に安全
比較表
リフト用スリング(吊り具)の選択目安
吊り具のタイプ支持範囲適応
全身支持(ハンモック)型頭頸部〜体幹〜大腿体幹保持困難・完全麻痺(本症例C6A)
脚分離(トイレ)型体幹〜殿部(大腿開放)ある程度の座位バランスがある例、排泄動作向け
座位保持型体幹中心坐位が安定している例
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