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理由で解く 作業療法士

QO54P017 作業療法評価学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午後 問17
問題
53歳の女性。前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血にて救急搬送された後、クリッピング術が施行された。術後1週で作業療法が処方された。言語機能と身体機能には大きな問題はみられず、食事、更衣、整容などは自立していたが、担当の作業療法士の名前や新しい出来事が覚えられない、などがみられた。この患者に行う評価で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 BIT
2 MMSE
3 SLTA
4 VPTA
5 WMS-Ⅲ
解答
正解2(MMSE)、5(WMS-Ⅲ)
解説

前交通動脈瘤破裂後は健忘症候群が生じやすい。近時記憶障害の評価にはWMS-Ⅲ(記憶検査)と、全般的認知機能のスクリーニングとしてMMSEが適切。

前交通動脈は前脳基底部・脳弓など記憶回路に近く、その動脈瘤破裂・術後には前脳基底部健忘(近時記憶障害・作話・見当識障害)が生じやすい。本例は言語・身体機能や身辺ADLは保たれる一方、「新しいことが覚えられない」=前向性の近時記憶障害が前景にある。したがって記憶を系統的に評価するWMS-Ⅲ(ウェクスラー記憶検査)が最適で、あわせて全般的認知機能を把握するスクリーニングとしてMMSEを選ぶ。BITは半側空間無視、SLTAは失語症、VPTAは視空間・視覚認知障害の検査で、本例の主症状(記憶障害)には合致しないため誤り。

✗ 1. 誤り
BIT
BIT(行動性無視検査):半側空間無視の評価で本例の記憶障害には不適
✓ 2. 正しい
MMSE
全般的認知機能・見当識を含むスクリーニングとして適切
✗ 3. 誤り
SLTA
SLTA(標準失語症検査):言語機能は保たれており不要
✗ 4. 誤り
VPTA
VPTA(標準高次視知覚検査):視覚認知障害の評価で該当しない
✓ 5. 正しい
WMS-Ⅲ
WMS-Ⅲ(ウェクスラー記憶検査):近時記憶障害を系統的に評価でき最適
ポイント
  • 前交通動脈瘤破裂=前脳基底部健忘(近時記憶障害)
  • 記憶の精査=WMS-III、全般認知=MMSE
  • BIT=無視・SLTA=失語・VPTA=視知覚は本例に不適
比較表
高次脳機能検査と評価対象
検査評価対象
WMS-III記憶(言語性・視覚性)
MMSE全般的認知機能スクリーニング
BIT半側空間無視
SLTA失語症
VPTA視空間・視覚認知
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