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理由で解く 作業療法士

QO54P005 作業療法評価学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午後 問5
問題
80歳の女性。右利き。脳梗塞急性期の頭部MRI拡散強調像を図に示す。この患者の症状で考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 失行
2 失語
3 体幹失調
4 右片麻痺
5 左半身の感覚障害
解答
正解4(右片麻痺)
解説

DWIの高信号は急性期梗塞。患者左半球の深部白質(放線冠=皮質脊髄路)の病巣は対側の右片麻痺を来す。

頭部MRI拡散強調像(DWI)の水平断で、側脳室体部レベルのスライス。画像下部の標識は「右」が見る側の左、「左」が見る側の右にあり、放射線学的表示(患者の右が画像の左)である。見る側の右寄り、すなわち患者の左半球の深部白質(側脳室体部近傍=放線冠領域)に、境界明瞭な小さな高信号病巣が1個認められる。DWIで高信号を呈するのは拡散制限を反映した急性期脳梗塞の所見である。この放線冠領域には皮質脊髄路(運動線維)が走行するため、左半球の同部位の梗塞は対側である右半身の運動麻痺、すなわち右片麻痺を生じる。小脳はこのスライスに描出されず体幹失調は該当せず、病巣が言語皮質・頭頂葉皮質ではないため失語・失行を直接示す所見ではなく、病巣が左半球にあるため右半球障害で起こる左半身の感覚障害も合致しない。したがって考えられる症状は右片麻痺であり、公式正答[4]と整合する。

右利きの大多数は左半球が言語優位半球で、ブローカ野(下前頭回後部)やウェルニッケ野(上側頭回後部)の皮質が障害されると失語が生じる。失行は頭頂葉(縁上回・角回など)の皮質病変で問題になる。本例の高信号は皮質ではなく側脳室体部近傍の深部白質=放線冠にとどまるため、皮質症状ではなく錐体路が断たれたことによる対側の片麻痺として読むのが筋道である。

✗ 1. 誤り
失行
頭頂葉皮質病変で生じるが、本図の高信号病巣は患者左半球の深部白質(放線冠・側脳室体部近傍)であり頭頂葉皮質の所見ではない
✗ 2. 誤り
失語
右利きでは左半球の言語野(前頭・側頭皮質)障害で生じるが、本図の病巣は言語皮質ではなく深部白質にあり失語を直接示す所見ではない
✗ 3. 誤り
体幹失調
小脳(虫部)障害で生じるが、本図はテント上・側脳室レベルの水平断で小脳は含まれず該当しない
✓ 4. 正しい
右片麻痺
DWI高信号(急性期梗塞)が患者左半球の深部白質=放線冠(皮質脊髄路の走行部)にあり、対側の右片麻痺を来す
✗ 5. 誤り
左半身の感覚障害
右半球(視床・感覚路)の障害で生じるが、病巣は左半球にあり左半身の感覚障害とは合致しない
ポイント
  • DWIは急性期梗塞を高信号で描出
  • 皮質脊髄路は内包後脚を通り対側支配
  • 左半球運動路病巣→右片麻痺
  • 感覚障害・失語・失行・失調はそれぞれ別の局在
  • 錐体路=運動野→放線冠→内包後脚→大脳脚→延髄錐体で交叉→対側の脊髄側索
  • 放線冠には感覚線維も通るが、出るとすれば病巣と対側(本例では右半身)の感覚障害
比較表
病巣局在と主な症状
病巣主な症状
左内包後脚・放線冠右片麻痺
左半球言語野失語
頭頂葉失行・感覚障害
右視床左半身感覚障害
小脳・脳幹体幹失調・運動失調
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