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理由で解く 作業療法士

QO54P013 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午後 問13
問題
85歳の男性。脳血管障害による右片麻痺で、発症から5か月が経過。回復期リハビリテーション病棟に入院中。主な介護者は77歳の妻。左手でT字杖を使用して屋内平地歩行は可能であるが、屋外は車椅子介助である。排泄はトイレにて自力で行うが、夜間頻尿と切迫性尿失禁がある。自宅の見取り図を示す。在宅復帰に向けて住環境の調整を行う際、作業療法士のアドバイスで正しいのはどれか。
図
選択肢
1 寝室をB(客室)に変更する。
2 ベッドの頭の向きを逆にする。
3 トイレの扉を内開きに変更する。
4 屋外スロープは1cmの立ち上がりをつける。
5 浴室に入出槽用の天井走行リフトを設置する。
解答
正解1(寝室をB客室に変更する。)
解説

夜間頻尿・切迫性尿失禁があるため、就寝する部屋をトイレに近いB(客室)へ移し、夜間の移動距離を短くするのが最も有効である。

見取り図では、トイレは1階の左下側にあり、現在の寝室A(中段右)よりもB(客室・下段右)の方がトイレに近く動線も短い。本症例は夜間頻尿と切迫性尿失禁があり、尿意を感じてから排泄までの猶予が短いため、就寝室をB(客室)に変更して夜間の移動距離を縮めれば、失禁も夜間の転倒も減らせる。したがって1が正しい。ベッドの頭の向きを逆にしても、トイレまでの距離や夜間の動線という本質的な課題は改善しない。トイレの扉を内開きにすると、内部で転倒したときに身体が扉につかえて開けられず救助が遅れるため、引き戸や外開きが原則である。屋外スロープの側端に設ける立ち上がりは車椅子の脱輪を防ぐためのもので、5cm程度は必要であり、1cmでは低すぎて役に立たない。天井走行リフトは、屋内をT字杖で自立歩行できる本症例には過剰な設備で優先度が低い。

✓ 1. 正しい
寝室をB(客室)に変更する。
トイレに近いB(客室)へ寝室を移すと夜間の移動距離が短縮でき、失禁・転倒を防げる。
✗ 2. 誤り
ベッドの頭の向きを逆にする。
頭位を入れ替えてもトイレまでの距離や夜間の動線は改善せず、本質的な対策にならない。
✗ 3. 誤り
トイレの扉を内開きに変更する。
内開きは内部で転倒すると扉が開けられず救助が困難。引き戸か外開きが原則で誤り。
✗ 4. 誤り
屋外スロープは1cmの立ち上がりをつける。
脱輪防止の立ち上がりは5cm程度必要で、1cmでは低すぎて役に立たない。
✗ 5. 誤り
浴室に入出槽用の天井走行リフトを設置する。
屋内はT字杖で歩行自立しており、天井走行リフトは過剰な設備で優先度が低い。
ポイント
  • 夜間頻尿・切迫性尿失禁=トイレへの動線短縮が最優先
  • トイレ扉は外開き・引き戸(内開きは救助困難)
  • 住環境調整は能力レベルに見合った最小限で
比較表
排泄に配慮した住環境調整
課題適切な対応
夜間頻尿・切迫性尿失禁寝室をトイレの近くへ
トイレ扉外開き・引き戸
屋外移動(車椅子介助)段差解消・緩勾配スロープ
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