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理由で解く 作業療法士

QO54P011 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午後 問11
問題
30歳の男性。調理師。頭部外傷受傷後4か月が経過し、回復期リハビリテーション病棟に入院している。麻痺はないが、明らかな企図振戦がある。意識障害や著しい記銘力低下はないが、些細なことで怒り出す。作業をする場合にはすぐに注意がそれてしまい継続できず、口頭での促しが必要である。ADLは自立し、現職復帰を希望している。この時期の作業療法の指導で正しいのはどれか。
選択肢
1 受傷前の職場を訪問させる。
2 包丁を用いた調理訓練を行う。
3 作業の工程リストを作らせる。
4 訓練はラジオを聴かせながら行う。
5 怒り出したときには厳格に注意する。
解答
正解3(作業の工程リストを作らせる。)
解説

外傷性脳損傷後の注意障害・遂行機能低下・易怒性が主症状。工程を外在化する代償手段(工程リスト)で持続的注意と段取りを補う。

頭部外傷後の高次脳機能障害では、注意の持続困難・易疲労・脱抑制的な易怒性・遂行機能低下がしばしば併存する。本例は麻痺や記銘力低下は目立たないが「すぐ注意がそれ促しが必要」=持続性/選択性注意の障害が中心で、これが現職(調理師)復帰の障壁になる。工程リストを作らせて手順を外部に見える化することは、注意の内的保持の負担を減らし自己教示・自己管理を促す代償的アプローチで、遂行機能訓練としても妥当。企図振戦がある段階で刃物や職場訪問を急ぐのは時期尚早で、易怒性には厳格な叱責でなく静穏な環境調整と受容的対応が原則。

✗ 1. 誤り
受傷前の職場を訪問させる。
復職支援は重要だが、注意・振戦が残るこの回復期にはまだ早く優先度が低い
✗ 2. 誤り
包丁を用いた調理訓練を行う。
企図振戦と注意障害がある段階で刃物使用は受傷リスクが高く危険
✓ 3. 正しい
作業の工程リストを作らせる。
手順を外在化し注意・遂行機能を代償する適切な訓練
✗ 4. 誤り
訓練はラジオを聴かせながら行う。
注意障害では余計な刺激が集中を妨げるため逆効果
✗ 5. 誤り
怒り出したときには厳格に注意する。
脱抑制による易怒性を叱責で悪化させるため不適切
ポイント
  • 外傷性脳損傷=注意障害・遂行機能低下・易怒性が中核
  • 注意障害には刺激を減らし手順を外在化する代償訓練
  • 易怒性には叱責でなく受容的・静穏な環境
比較表
高次脳機能障害への代償的対応
症状対応
注意持続困難工程リスト化・刺激を減らす
遂行機能低下手順の外在化・自己教示
易怒性(脱抑制)受容的対応・環境調整
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