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理由で解く 作業療法士

QO54A018 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問18
問題
50歳の女性。10年前に義母の介護に際して突然の視力障害を訴えたが、眼科的異常はみられなかった。1か月前に夫の単身赴任が決まってから、下肢の冷感、疼痛を主訴として、整形外科、血管外科などを受診するも異常所見は指摘されなかった。次第に食事もとれなくなり、心配した夫が精神科外来を受診させ、本人はしぶしぶ同意して任意入院となった。主治医が、身体以外のことに目を向けるようにと作業療法導入を検討し、作業療法士が病室にいる本人を訪問することになった。本人は着座すると疼痛が増強するからと立位のままベッドの傍らに立ち続けて、他科受診できるよう主治医に伝えてほしいと同じ発言を繰り返す。この患者に対する病室での作業療法士の対応で最も適切なのはどれか。
選択肢
1 他科受診できるよう約束する。
2 夫の単身赴任をどのように感じているか尋ねる。
3 痛みが軽減することを約束して作業療法への参加を促す。
4 身体的には問題がなく、心の問題であることを繰り返し伝える。
5 他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。
解答
正解5(他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。)
解説

心理的葛藤(介護・単身赴任)を背景に身体症状が生じる身体表現性(転換性)障害。症状の否定や心因の直面化、安易な約束は治療関係を損なう。導入期はまず受容的に傾聴し、チームで一貫した対応をとる。

本症例は、ストレス状況(義母の介護、夫の単身赴任)に一致して器質的異常のない身体症状(視力障害、下肢の冷感・疼痛)が出現しており、身体表現性障害(転換性障害/身体症状症)が考えられる。患者は身体症状にとらわれ疾病利得も背景にあるため、症状を頭ごなしに否定したり「心の問題」と直面化を迫ると防衛が強まり治療関係が破綻する。また「他科受診」や「痛みが消える」といった実現保証のない約束は不適切で、後の信頼を損なう。導入期に最も適切なのは、本人の訴えを否定も肯定もせず受容的に聴き(聞き役に徹し)、多職種スタッフ間で発言・方針を統一して一貫した関わりを保つことである。心理的側面(夫の単身赴任の感情)への直接的な問いかけも、信頼関係ができる前の初回訪問では時期尚早である。

✗ 1. 誤り
他科受診できるよう約束する。
症状へのとらわれを強化し身体志向を助長する。不適切
✗ 2. 誤り
夫の単身赴任をどのように感じているか尋ねる。
心因の直面化は信頼関係構築前の初回では時期尚早
✗ 3. 誤り
痛みが軽減することを約束して作業療法への参加を促す。
保証できない約束で信頼を損なう
✗ 4. 誤り
身体的には問題がなく、心の問題であることを繰り返し伝える。
症状の否定・直面化は防衛を強め関係を破綻させる
✓ 5. 正しい
他のスタッフの発言との食い違いが生じないよう、聞き役に徹する。
聞き役に徹し、スタッフ間で食い違いが生じないようにする:受容的傾聴とチームの一貫対応で最も適切
ポイント
  • 身体表現性(転換性)障害=心理的葛藤が身体症状に転換、器質的異常なし
  • 症状の否定・心因の直面化・安易な約束は禁物
  • 導入期は受容的傾聴とラポール形成が優先
  • 多職種で対応を統一し一貫性を保つ
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