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理由で解く 作業療法士

QO54A017 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問17
問題
35歳の男性。交通事故による外傷性脳損傷で入院となった。受傷10日後から作業療法が開始された。運動麻痺や感覚障害はみられなかった。些細なことで怒りをあらわにし、作業療法中も大きな声をあげ、急に立ち上がってその場を去る、というような行動がしばしばみられた。患者はこの易怒性についてほとんど自覚しておらず病識はない。この患者の怒りへの対応で最も適切なのはどれか。
選択肢
1 原因について自己洞察を促す。
2 感情をコントロールするよう指導する。
3 周囲に与える影響を書き出してもらう。
4 よく観察し誘発されるパターンを把握する。
5 脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する。
解答
正解4(よく観察し誘発されるパターンを把握する。)
解説

外傷性脳損傷後の易怒性は社会的行動障害(高次脳機能障害)の一つ。病識が乏しい段階では、自己洞察や自制の指導は成立しにくい。まず誘発要因・状況のパターンを観察・把握し、環境調整で発作を予防する。

外傷性脳損傷(前頭葉損傷など)による易怒性・脱抑制は社会的行動障害の代表症状で、本症例は病識が乏しい点が対応上の重要な前提となる。病識のない段階で自己洞察を促す・感情制御を指導する・影響を書き出させる・脳損傷との関係を理解するまで説明する、といった本人の内省や自覚に依拠したアプローチは効果が乏しく、かえって反発や混乱を招く。まず作業療法士が易怒性の誘発される状況・刺激・時間帯などのパターンを客観的に観察・把握し、そのトリガーを避ける環境調整(刺激の統制、課題難易度・量の調整、休憩の挿入)を行うことが最も適切である。行動の理解と予防が先で、洞察や自己制御の学習はより回復が進んだ段階の課題となる。

✗ 1. 誤り
原因について自己洞察を促す。
病識がなく内省が困難な段階では成立しにくい
✗ 2. 誤り
感情をコントロールするよう指導する。
自制の学習は病識・自己認識が前提。この段階では時期尚早
✗ 3. 誤り
周囲に与える影響を書き出してもらう。
メタ認知を要し病識のない本人には困難
✓ 4. 正しい
よく観察し誘発されるパターンを把握する。
トリガーを同定し環境調整で予防する最も現実的な対応
✗ 5. 誤り
脳損傷との関係について理解が得られるまで説明する。
理解を強要すると反発を招く。病識形成は段階的に進める
ポイント
  • 外傷性脳損傷後の易怒性=社会的行動障害(高次脳機能障害)
  • 病識が乏しい段階では自己洞察・自制指導は成立しにくい
  • まず誘発パターンを観察・把握し環境調整で予防する
  • 刺激統制・課題調整・休憩挿入が有効
比較表
高次脳機能障害の社会的行動障害への対応原則
段階対応
病識が乏しい急性〜回復早期誘発要因の観察・環境調整で予防
自己認識が芽生えた段階気づきの支援・代償行動の学習
回復が進んだ段階自己モニタリング・感情制御の獲得
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