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理由で解く 作業療法士

QO54A012 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問12
問題
63歳の男性。脊髄小脳変性症により在宅生活を送っている。重症度分類は下肢Ⅲ度(中等度)、上肢Ⅳ度(重度)である。日常生活で使用する福祉用具で誤っているのはどれか。
選択肢
1 ポータブルスプリングバランサー
2 キーボードカバー付きパソコン
3 シャワーチェアー
4 ポータブルトイレ
5 歩行器
解答
正解1(ポータブルスプリングバランサー)
解説

脊髄小脳変性症の主症状は運動失調(測定障害・企図振戦・協調運動障害)であり、筋力低下ではない。上肢を宙で支えて運動を誘導するポータブルスプリングバランサーは失調に無効で、むしろ支持を減らし振戦を助長するため不適切。

脊髄小脳変性症(SCD)は小脳・脊髄・脳幹の変性により運動失調をきたす疾患で、上肢では測定障害・企図振戦・反復拮抗運動障害、下肢・体幹では平衡障害と失調性歩行が問題となる。中核となる障害は「運動の協調・制御の障害」であって筋力低下ではない点が福祉用具選定の鍵である。ポータブルスプリングバランサー(PSB)はバネの張力で上肢の重量を支え、わずかな力で上肢を空間内に動かせるようにする装置で、筋ジストロフィーやALS・脊髄性筋萎縮症など近位筋の筋力低下が主体の疾患に適応がある。失調症例では上肢を宙に浮かせて支持点を減らすとかえって企図振戦・測定障害が増強し、目的動作が困難になるため不適切である。他の用具は失調に伴う転倒・巧緻性低下を補う実用的選択肢であり適切。

✓ 1. 誤り
ポータブルスプリングバランサー
上肢の重量を支えて筋力低下を補う装置。SCDの失調には無効でむしろ振戦を助長し不適切(誤=これが答え)
✗ 2. 正しい
キーボードカバー付きパソコン
上肢失調による誤打鍵を防ぎ、意思伝達・作業を支援できる
✗ 3. 正しい
シャワーチェアー
立位・動作の失調による入浴時の転倒を防ぎ安全に洗体できる
✗ 4. 正しい
ポータブルトイレ
夜間や失調歩行による移動リスクを減らし排泄を安全にする
✗ 5. 正しい
歩行器
失調性歩行の支持基底面を広げ、体幹の動揺を抑えて歩行を安定させる
ポイント
  • SCDの主症状は運動失調であり筋力低下ではない
  • ポータブルスプリングバランサーは近位筋の筋力低下(筋ジス・ALS等)が適応
  • 失調では支持を減らすと振戦・測定障害が悪化する
  • 福祉用具は転倒予防・安全確保・巧緻性補完の観点で選ぶ
比較表
上肢支援機器の適応
機器主な適応作用
ポータブルスプリングバランサー近位筋の筋力低下(筋ジス・ALS)上肢の重量を支え運動を補助
BFO(MOMO)筋力低下前腕を支持し水平面運動を補助
重錘負荷上肢失調(SCD等)重みで振戦・測定障害を抑制
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