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理由で解く 作業療法士

QO54A009 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問9
問題
第5頸髄不全四肢麻痺〈ASIA C〉患者の図の矢印の部分に褥瘡ができた。見直すべき動作で考えられるのはどれか。
選択肢
1 移乗
2 座位保持
3 立ち上がり
4 起き上がり
5 プッシュアップ
解答
正解4(起き上がり)
解説

矢印が指すのは肘頭部(肘の後面)。第5頸髄損傷では肘を伸ばして体を支えられず、肘をついた姿勢(on elbow)で体幹を起こすため、肘頭に摩擦とずれが繰り返し加わる。見直すべき動作は起き上がりである。

褥瘡は骨突出部への持続的な圧迫だけでなく、動作中に皮膚と深部組織の間に生じる『ずれ(剪断力)』と摩擦によっても発生・悪化する。図の矢印が示すのは肘頭部で、皮下組織が薄く骨が突出しているため褥瘡の好発部位である。第5頸髄損傷では三角筋・上腕二頭筋までは働くが上腕三頭筋(C7)による肘伸展が使えず、ASIA C(運動不全麻痺だが残存筋力は不十分)では体幹・上肢の支持性も乏しい。そのため背臥位から起き上がる際は、肘を支点に体重を預ける肢位(on elbow)をとり、寝床の上で肘頭を擦りながら体幹を起こすことになりやすい。この反復する摩擦・剪断が矢印部位の褥瘡の原因として最も考えられ、起き上がりの方法(肘を擦らない手順、上肢や環境の使い方、寝具の工夫)を見直す必要がある。他の選択肢の動作で荷重・圧迫がかかるのは主に手掌・殿部・坐骨部であり、肘頭部の褥瘡は説明できない。

✗ 1. 誤り
移乗
移乗で荷重とずれが加わるのは主に手掌と殿部・大腿後面であり、肘頭部を擦る動作ではない
✗ 2. 誤り
座位保持
座位保持で問題になるのは坐骨結節部や仙骨部への持続的な圧迫で、肘頭部の褥瘡は説明できない
✗ 3. 誤り
立ち上がり
荷重は下肢に移動する動作で肘頭部に圧迫・摩擦は加わらない。第5頸髄不全四肢麻痺〈ASIA C〉では実用的な立ち上がり自体が困難でもある
✓ 4. 正しい
起き上がり
肘をついて(on elbow)体幹を起こすため、肘頭部に体重が集中し寝床との摩擦・ずれが繰り返し加わる。矢印部位の褥瘡の原因として最も考えられ、動作方法を見直す
✗ 5. 誤り
プッシュアップ
手掌をついて殿部を持ち上げる除圧動作で、荷重がかかるのは手掌。むしろ褥瘡予防に働き、肘頭部の原因とは考えにくい
ポイント
  • 褥瘡の要因=持続圧+ずれ(剪断力)+摩擦
  • 矢印の部位=肘頭部。骨が突出し皮下組織が薄い好発部位
  • 第5頸髄損傷は肘伸展が使えず、肘をついた(on elbow)起き上がりで肘頭を擦る
  • 褥瘡の部位から原因となる動作を逆算し、その動作方法を見直す
比較表
褥瘡発生に関わる力学的因子
因子内容関連動作
圧迫骨突出部への持続圧座位保持・臥位
剪断力(ずれ)皮膚と深部のずれ起き上がり・移乗
摩擦支持面での擦れ起き上がり・引きずり動作
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