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理由で解く 作業療法士

QO54A008 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問8
問題
55歳の男性。倒れてきた本棚により右肘上部を圧迫され正中神経麻痺を生じた。約1か月経過したが、右上肢の運動障害と感覚障害を認めていることから装具療法を行うことになった。使用する装具で正しいのはどれか。
選択肢
1 長対立装具
2 IP伸展補助装具
3 ナックルベンダー
4 Thomas型懸垂装具
5 コックアップ・スプリント
解答
正解1(長対立装具)
解説

肘上部での正中神経高位麻痺では母指球筋(母指対立)が麻痺し猿手を呈する。母指対立を補い前腕まで支持する長対立装具が適応となる。

正中神経は前腕回内筋群・橈側手指屈筋群・母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋・短母指屈筋浅頭)を支配し、感覚は母指〜環指橈側の掌側を担う。肘上部での高位麻痺では母指の対立・外転が障害され、母指球が萎縮して母指が手掌と同一平面に並ぶ『猿手(ape hand)』を呈する。装具療法の目的は、麻痺した母指対立位を保持して把持機能を補い、拘縮を予防することにある。母指を対立位に保持する対立装具のうち、高位麻痺で手関節を安定させる支持が必要な場合には前腕部まで及ぶ長対立装具(long opponens splint)が適応となる。手関節背屈保持のみを目的とするコックアップ・スプリントは橈骨神経麻痺(下垂手)向けであり、本症例には適さない。

✓ 1. 正しい
長対立装具
母指を対立位に保持し前腕まで支持する装具で、正中神経(高位)麻痺の猿手に適応
✗ 2. 誤り
IP伸展補助装具
手指IP関節の伸展を補助する装具で、正中神経麻痺の主目的(母指対立)には合致しない
✗ 3. 誤り
ナックルベンダー
MP関節屈曲を補助する装具で、尺骨神経麻痺の鷲手などに用い本症例には不適
✗ 4. 誤り
Thomas型懸垂装具
橈骨神経麻痺の下垂手に対する装具で、正中神経麻痺には不適
✗ 5. 誤り
コックアップ・スプリント
手関節を背屈保持する装具で、橈骨神経麻痺(下垂手)向けであり本症例には不適
ポイント
  • 正中神経(高位)麻痺=母指対立障害・猿手
  • 母指対立を補うのが対立装具、手関節支持が必要な高位麻痺では長対立装具
  • 下垂手(橈骨神経)にはコックアップ/Thomas型懸垂装具
比較表
末梢神経麻痺の変形と装具
障害神経変形代表的装具
正中神経猿手(母指対立不能)長/短対立装具
尺骨神経鷲手ナックルベンダー・MP屈曲補助装具
橈骨神経下垂手コックアップ・スプリント/Thomas型懸垂装具
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