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理由で解く 作業療法士

QO54A007 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問7
問題
20歳の男性。頸髄完全損傷。受傷3週後のDanielsらの徒手筋力テストにおける上肢の評価結果を示す。この患者が獲得する可能性の最も高いADLはどれか。(右/左:大胸筋4/4、三角筋5/5、上腕二頭筋5/5、上腕三頭筋0/1、円回内筋0/1、長短橈側手根伸筋4/4、橈側手根屈筋0/1、広背筋0/0)
選択肢
1 床から車椅子へ移乗する。
2 10cmの段差をキャスター上げをして昇る。
3 ベッド上背臥位からベッド柵を使用せずに寝返る。
4 ベッド端座位のプッシュアップで20cm殿部を持ち上げる。
5 車椅子上、体幹前屈位からアームサポートに手をついて上半身を起こす。
解答
正解3(ベッド上背臥位からベッド柵を使用せずに寝返る。)
解説

受傷3週後の上肢MMTで長短橈側手根伸筋(MMT4)が働き上腕三頭筋(0〜1)が働かない=残存レベルC6。手関節背屈によるテノデーシス把持は可能だが肘伸展できないため、獲得可能なのは反動を用いた寝返りである。

受傷3週の時点で示された徒手筋力テストの結果を髄節支配で読み解くと、三角筋・上腕二頭筋(C5)が正常、長短橈側手根伸筋(C6)がMMT4で機能する一方、上腕三頭筋(C7)は0〜1、橈側手根屈筋(C7)も0〜1、広背筋は0と働かない。これは残存機能レベルC6の完全四肢麻痺に相当する。受傷後まだ日の浅い時期の評価であるが、この時点で残存している筋から機能レベルを判定し、到達可能なADLを予測する。C6レベルでは手関節背屈が可能なため、指を他動的に屈曲させるテノデーシス(腱固定作用)による把持が獲得でき、上肢の反動(momentum)を利用した動作も可能となる。上腕三頭筋が働かないため肘を伸展位で支持する動作(プッシュアップでの殿部挙上、キャスター上げ、床からの移乗、アームサポートを押して体を起こす動作)はいずれも困難である。これに対し、両上肢を大きく振る反動を用いれば柵を使わない寝返りは獲得可能であり、C6レベルで最も実現性が高いADLとなる。

✗ 1. 誤り
床から車椅子へ移乗する。
強力な肘伸展と体幹支持が必要でC6では困難
✗ 2. 誤り
10cmの段差をキャスター上げをして昇る。
上腕三頭筋による肘伸展固定が必須で困難
✓ 3. 正しい
ベッド上背臥位からベッド柵を使用せずに寝返る。
上肢を振る反動を利用して可能で、C6レベルで獲得可能性が最も高い
✗ 4. 誤り
ベッド端座位のプッシュアップで20cm殿部を持ち上げる。
肘伸展保持ができず殿部挙上は困難
✗ 5. 誤り
車椅子上、体幹前屈位からアームサポートに手をついて上半身を起こす。
アームサポートを押して肘伸展で体を持ち上げる必要があり、上腕三頭筋が働かないため困難
ポイント
  • 長短橈側手根伸筋機能+上腕三頭筋麻痺=C6レベル
  • C6=手関節背屈でのテノデーシス把持が可能
  • 上腕三頭筋(C7)麻痺で肘伸展支持動作は不可、反動での寝返りは可能
比較表
頸髄損傷レベルと主な残存筋・ADL
レベル主な残存筋獲得しやすい動作
C5三角筋・上腕二頭筋食事(自助具)
C6長短橈側手根伸筋テノデーシス把持・反動での寝返り
C7上腕三頭筋・手指伸筋プッシュアップ・移乗
C8手指屈筋巧緻動作・車椅子ADL自立
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