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理由で解く 作業療法士

QO52P012 作業療法治療学

出典:第52回作業療法士国家試験(2017)午後 問12
問題
80歳の男性。体重70kg。介護者は腰痛のある70歳の妻で体重39kg。誤嚥性肺炎による1か月の入院後、下肢の廃用性の筋力低下をきたしている。端座位保持は可能であるが、立ち上がりは手すりを把持しても殿部が挙上できずに全介助である。立位は手すりを把持して保持できるが、足踏み動作は困難である。車椅子への移乗介助に使用する福祉用具の写真を図に示す。妻の腰痛を助長しないことを優先して選択する用具として適切なのはどれか。
図
選択肢
1
2
3
4
5 5別冊 No. 4 1〜5
解答
正解1(1)
解説

立ち上がり全介助で体重差が大きい移乗では、持ち上げずに座位のまま滑らせるスライディングボードが介助者の腰部負担を最小にする。

本例は立ち上がりが全介助で殿部を挙上できず、足踏みも困難であり、下肢で体重を支持できない。したがって立位保持・立ち上がりを前提とする用具(②据置式縦手すり、④ベッド柵)や、介助者が身体を持ち上げて用いる用具(③移乗用介助ベルト)は、体重70kgの患者を腰痛のある39kgの妻が持ち上げる/支える負担を生じ不適。⑤介助グローブはベッド上の体位変換やずれ補正に用いるもので、車椅子への移乗には向かない。①スライディングボードはベッドと車椅子の間に架橋し、座位のまま滑らせて移乗できるため、持ち上げ動作が不要で妻の腰部負担(腰痛の助長)を最小にできる。

✓ 1. 正しい
スライディングボード(トランスファーボード):黒い板状で両端に持ち手穴がある。ベッドと車椅子の間に架け、座位のまま滑らせて移乗でき、介助者が70kgを持ち上げる必要がなく妻の腰痛を助長しない
✗ 2. 誤り
床と天井の間に突っ張って固定する縦型ポール手すり。立ち上がり全介助・足踏み困難な本例では支持だけで移乗できず、妻が支える負担が残る
✗ 3. 誤り
腰に巻いて介助者が把持し持ち上げる帯。殿部挙上不能の全介助例では妻が70kgを持ち上げることになり腰痛を助長する
✗ 4. 誤り
ベッド柵(移動バー):ベッド側面の柵型手すり。起き上がり・立ち上がりの支持用で、殿部挙上不能の本例の移乗介助負担は軽減しない
✗ 5. 誤り
5別冊 No. 4 1〜5
滑る素材の袋状グローブ。ベッド上の体位変換・ずれ補助用で、車椅子への移乗には適さない
ポイント
  • ノーリフティングケア=介助者に抱え上げをさせない
  • 立ち上がり全介助・立位保持可なら移乗用(スタンディング)リフトが適合
  • 介助者と患者の体格差・腰痛は用具選択の重要因子
比較表
移乗の残存能力と福祉用具
患者の能力適した用具の考え方
座位保持のみ吊り具型(床走行式)リフト
立位保持可・立ち上がり不可スタンディングリフト
立ち上がり可スライディングボード等
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