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理由で解く 作業療法士

QO52A007 作業療法治療学

出典:第52回作業療法士国家試験(2017)午前 問7
問題
50歳の女性。左椎骨動脈解離によるWallenberg症候群で3週経過した。四肢に麻痺と高次脳機能障害はないが、摂食嚥下障害があり経鼻経管栄養が開始された。嚥下造影では咽頭収縮不良による左側咽頭通過障害を認め、唾液を常にティッシュで拭っている状態である。発熱はなく、呼吸状態は安定している。この患者への対応で正しいのはどれか。
選択肢
1 間接訓練は禁忌である。
2 頸部左回旋して嚥下する。
3 間欠的経管栄養の適応はない。
4 垂直座位で唾液の誤嚥を防ぐ。
5 頸部の筋力訓練は禁忌である。
解答
正解2(頸部左回旋して嚥下する。)
解説

一側性咽頭麻痺では、麻痺側(患側)へ頸部を回旋すると患側の梨状窩が閉じ、食塊が健側を通過して誤嚥を防げる。左側障害なら頸部左回旋が正しい。

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は疑核障害により嚥下反射・咽頭収縮が低下し、一側性の咽頭麻痺をきたす。本例は左側咽頭通過障害(左の咽頭収縮不良)があるため、頸部を患側である左へ回旋して嚥下する(頸部回旋法/横向き嚥下)。これにより患側(左)の梨状窩・咽頭腔が狭まって閉鎖され、食塊が健側(右)へ誘導されて通過効率が上がり誤嚥を減らせるため正しい。間接訓練(食物を用いない嚥下体操・アイスマッサージ・頸部筋力訓練など)はむしろ機能回復に重要で禁忌ではない。間欠的経管栄養(間欠的口腔・食道経管栄養)は嚥下訓練と併用できる有用な代替栄養法で適応がある。唾液誤嚥対策として厳密な垂直座位に限る必要はなく、やや後方への傾き(リクライニング)で咽頭への流入をコントロールする方が有利なこともあり『垂直座位で防ぐ』は必ずしも正しくない。したがって正解は頸部左回旋である。

✗ 1. 誤り
間接訓練は禁忌である。
食物を用いない嚥下体操・筋力訓練は機能回復に有用で禁忌ではない
✓ 2. 正しい
頸部左回旋して嚥下する。
患側(左)を回旋で閉鎖し健側へ食塊を誘導、通過障害・誤嚥を軽減
✗ 3. 誤り
間欠的経管栄養の適応はない。
間欠的経管栄養は嚥下訓練と併用できる有用な代替栄養法で適応がある
✗ 4. 誤り
垂直座位で唾液の誤嚥を防ぐ。
厳密な垂直座位が必須ではなく、リクライニング調整の方が有利な場合もある
✗ 5. 誤り
頸部の筋力訓練は禁忌である。
頸部・喉頭挙上筋群の訓練は嚥下機能改善に有用で禁忌ではない
ポイント
  • Wallenberg症候群=疑核障害で一側性咽頭麻痺
  • 頸部回旋は患側へ(患側梨状窩を閉じ健側へ誘導)
  • 間接訓練・間欠的経管栄養はいずれも有用で禁忌ではない
比較表
一側性咽頭麻痺の代償嚥下手技
手技目的・効果
頸部回旋(患側へ)患側咽頭を閉鎖し健側へ食塊誘導
頸部側屈(健側へ)重力で健側へ食塊を導く
うなずき嚥下・複数回嚥下咽頭残留の除去
リクライニング位咽頭への急な流入を制御し誤嚥予防
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