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理由で解く 臨床医学各論

Q33A076 神経疾患

出典:あマ指 第33回(2025) 問題76
問題
次の症例について、「24歳の女性。事務職。最近パソコンでキーボード入力やマウスのクリック動作が多くなり、右手示指と中指の先がしびれるようになった。右手関節橈背側の腫脹や圧痛はない。」確定診断に用いる検査はどれか。
選択肢
1 CT検査
2 MRI検査
3 超音波検査
4 末梢神経伝導速度検査
解答
正解4(末梢神経伝導速度検査)
解説

手作業の反復のあとに示指・中指の先がしびれる、すなわち手根管での正中神経障害を疑う症例である。確定診断には神経の伝わり方そのものを調べる末梢神経伝導速度検査を用いる。

末梢神経障害の評価は、感覚障害・運動障害・自律神経障害の把握と、電気診断(神経伝導速度検査・筋電図)で行う。神経伝導速度検査では、神経を電気で刺激して応答を記録し、伝導速度の低下や伝導のブロックとして障害を数値でとらえられる。筋電図検査では、軸索の障害が進むと脱神経徴候がみられる。絞扼障害は「どこで」「どの程度」神経の伝導が落ちているかを示すことで客観的に確定できる。形態をうつす検査(超音波・MRI)は、神経の腫れや圧迫の原因を探す補助にはなるが、伝導の障害そのものは示せない。機能をみる検査か、形態をみる検査かという軸で選択肢を分けると、この型の問いは迷わない。

✗ 1. 誤り
CT検査
CT検査はX線を用いた断層撮影で、骨の形態をとらえるのに優れる。手根管をつくる手根骨の形は見えるが、正中神経の伝導が落ちているかどうかは分からない。本例のような絞扼性神経障害の確定診断には用いない。
✗ 2. 誤り
MRI検査
MRI検査は軟部組織の差を描き分けるのに優れ、圧迫の原因となる腫瘤などを探すときには役立つ。しかし得られるのは形態の情報であり、神経の伝導がどの程度障害されているかを示すものではない。確定診断を担う検査とはいえない。
✗ 3. 誤り
超音波検査
超音波検査は被ばくがなく繰り返し行え、神経や腱の形をその場で観察できる。ただしこれも形態をみる検査で、伝導速度の低下や伝導ブロックといった神経の機能の障害をとらえることはできない。
✓ 4. 正しい
末梢神経伝導速度検査
末梢神経障害の電気診断の中心となる検査で、伝導速度の低下または伝導のブロックがみられる。本例では手関節部(手根管)を挟んで正中神経を刺激し、運動神経の遠位潜時の延長や、手根管の区間での感覚神経伝導速度の低下を確かめる。絞扼の場所が手根管にあることと、その程度まで客観的に示せるので、確定診断に用いる検査として適切である。
ポイント
  • 末梢神経障害の評価は感覚・運動・自律神経障害の把握と電気診断(神経伝導速度検査・筋電図)で行う。
  • 神経伝導速度検査=伝導速度の低下・伝導のブロック、筋電図検査=(軸索障害があれば)脱神経徴候。
  • CT・MRI・超音波は形態をみる検査で、神経の機能低下を確定する検査ではない。
  • 手根管症候群では、手関節部(手根管)を挟んで正中神経を刺激し、運動神経の遠位潜時の延長や、手根管の区間での感覚神経伝導速度の低下を確かめる。どこで、どの程度落ちているかを示せるのがこの検査の強み。
  • 重要用語: 末梢神経伝導速度検査, 電気診断, 手根管症候群 を正確に理解しておくこと。
比較表
検査何をみるか手根管症候群での位置づけ
末梢神経伝導速度検査神経の機能(伝導速度の低下・伝導ブロック)運動神経の遠位潜時の延長や、手根管の区間での感覚神経伝導速度の低下をみる。確定診断に用いる
筋電図検査筋の電気活動(軸索障害が進めば脱神経徴候)電気診断として併せて行う
CT検査骨を中心とした形態神経の機能は評価できない
MRI検査軟部組織の形態圧迫の原因探しにとどまる
超音波検査神経・腱の形態(リアルタイム)形態の情報にとどまる
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